当ブログでは,過去何度も「棋譜」に関わる権利(主に著作権)について書いてきたが(末尾のリンク参照),今回,また新たな動きがあった。
最近では,将棋YouTuberの競争が激しい。元奨励会(しかもその1人はプロ編入に!),アマ愛好家らにプロ棋士,女流棋士も自らのチャンネルを開設して参入するなど,1日中動画を見ていても飽きないくらいコンテンツ過多の状態にある。
その中の1ジャンルとして,棋譜中継されたプロの実戦譜について,ソフトで解析した結果などを示すものがあるが(私はこのジャンルは見ないけれど),将棋連盟はこうした棋譜・局面の利用を認めていない。
「認めていない」ことの根拠はあいまいであったことから,あるYouTuberが,コンピュータ将棋の開発者でもある弁護士のサポートも得て,連盟に突撃したというのが上記のニュースである。
ちなみに,私も過去に木村王位誕生か,という歴史的対局について,試しに「ブログで紹介してみたい」と将棋連盟に申請してみたけれど,NGの回答をもらったことがある。
詳細は割愛しますが,現時点ではという留保がありつつも,ブログ等で棋譜を紹介することはNGである旨の回答が来たことを報告いたします https://t.co/vNhOss3Qzs
— Masahiro Ito/伊藤雅浩🍀 (@redipsjp) 2019年9月27日
棋譜は,確かに重要な「資産」であることは否定しないが,私は,現在のような棋譜はおろか,特定の盤面・局面すら公開することを制限する「なんでもNG」という将棋連盟の姿勢には疑問がある(有料で開示している情報を,無許可で拡散する行為については,一定の場合に不法行為等に該当するとは思うが。)。
将棋連盟中継アプリから盤面付きツイート機能が削除されたのね。
— Masahiro Ito/伊藤雅浩🍀 (@redipsjp) 2019年6月26日
その理由はわかりませんが、棋譜はもちろん特定の局面に著作権が生じるわけでもないし、この時代にそれを禁ずることはユーザの方を向いてないことだけは確かですね。
もっとも,冒頭で紹介した「質問状」のニュースに関する「2ちゃんねるまとめサイト」などのコメントを見てみると,「他人のふんどし」「偉そうに」などといったYouTuberに否定的なものが多かったのは意外だった。
記事中では,債務不存在確認訴訟を提起する可能性についても言及していたが,できればそういった方法ではなく,将棋連盟からはガイドラインを提示したり,意見を募ったりするなど,対話型な解決を図ってもらいたいと思う。
そして,その際にはもちろんスポンサーの意向も重要だが,このインターネットの時代に,ファンを維持・拡大して,将棋を楽しめるようにするための適切なオープン・クローズ戦略を立ててもらいたいと切に願う。