Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

弁護士マウンティング大全

話題の書、『人生が整うマウンティング大全』をほぼ発売と同時に読んで、「これ、弁護士業界にもよくあるなあ」と思っていました。

 

1時間から2時間もあれば一気に読めてしまうので、とてもお勧めです。単なる皮肉・笑いにとどまらず、確かにビジネスにおいて、「相手に気持ちよくマウンティングしてもらう」というのは重要だなと感じさせられるなど、示唆に富んでいます。

そこで、以下は悪ノリとして、同書のマウンティング図鑑に触発されて、この業界にありがちなマウンティングを取り上げてみました。特定の発言、人、事務所等を批判する意図はなく、また、「自分もやってるだろう」という突っ込みもおそれず、あくまで単なるネタとして「こういうのもあるよ!」という指摘も歓迎です。

弁護士マウンティング図鑑

経営弁マウンティング

  • ボーナスの時期はもらって嬉しいという感覚はとっくに去ってしまい、今は払う側の恐怖しかないね
  • 今月も住民税の引き落としか・・四半期ごとにプリウスが買えちゃうよ
  • まさかのマンションのローン審査落ち・・サラリーマンの方が信用あるなあ
直接的に「お金持ち」アピールは品位を欠くということで、「経営者は辛いよ」という雰囲気を出しつつ、経済的に潤っている感、一国一城の主感を出すタイプのマウンティング。
個人的には、若い人にこの業界への夢を持ってもらうために、ぜひこの種の発信は遠慮なくしてもらいたいところ。

忙しいマウンティング

  • ふう、今日も打ち合わせが9件あった。自分の起案が進まないし、原稿の締め切りががが・・
  • いつも東海岸基準でミーティングの時間設定されるから、慢性的に睡眠不足
  • 今年のゴールデンウィークは、1日くらいは休めるかな・・
この業界で一番多く行われているマウンティング。実際に、この仕事で「ヒマ」になるのは何よりも怖いことであり、売れっ子であることのアピールは営業上重要である。忙しさとともに特殊なスキルがあることも併せてアピールが可能になる。

大手等ディスりマウンティング

  • 大手事務所の意見書を見たけど、当たり前のことしか書いてないし、あれで〇百万円っていうのはいい商売だなあ。
  • 〇〇事務所の広告に載っている報酬でやれば、今ごろ自分も生活が楽になってただろうなあ。つくづく自分は商売が下手だ。
4大、5大と呼ばれる大手や、A、Vなどの新興大手は業界的に「下げ」られがちである。ディスっていると見せかけて、自分はそれ以上のことができる、あるいは儲けられるということを示唆している。しかし、個人的には、世に言われるほど高額なのか、品質が見合ってないのかというと疑問もあり、この種の批判はエアプのケースも少なくないと思っている。

教養/意識高いマウンティング

  • 最近の若い弁護士は、民法どころか債権債務の基本がわかっていない。やっぱりローマ法、しかもラテン語で勉強するのが結局は一番近道だよ。
  • 英語、会計、IT。企業法務やるなら法律は当然の前提として、これらのビジネス必須科目をわかっていないと相手にしてもらえないんですよ。
自分が弁護士になったころは、文学・哲学・歴史・美術などの「教養」を重視するベテランが多かった。代わりに最近では仕事関連で意識高い系の「そこまでやらないとダメ」という発信をすることで若手にプレッシャーを与える例が散見される。

弁護士っぽくないマウンティング

  • 弁護士は弁護士としか付き合わないけど、自分は弁護士と飲むことなんてほとんどないですね。
  • 平日は、ゴールデン街によく出没してるけど、隣で飲んでる人に「え?弁護士なの?」っていつも驚かれます。確かにこの恰好じゃ弁護士に見えないかww
これも以前によく観測されたマウンティングスタイル。ステレオタイプではない弁護士であることをアピールすることで注目を浴びる手法が用いられていたが、徐々にそれは痛いことであるという認識が広まったことや、実際に弁護士人口が増えて多様性も高まったため、ちょっと遊んでるくらいでは全然普通になってしまったというのもある。
 
こんなところで。