Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

9年目に入って

当事務所に内定している69期修習生が,二回試験の合格を報告に来た。


彼は1月から晴れて弁護士として勤務を開始することになるな・・と思いながら,ふと気づいた。69期が実務に出るということは,私(61期)は,9年目に突入するのだ,と。


丸八年というのは一般には何らの節目でもないのだけれど,自分にとっては特別の感覚がある。というのも,前職,コンサルティング業界に身を置いていたのは2社合計8年間であり,とうとう弁護士としてのキャリアが追い越したことになるからだ。そろそろセミナーなどでの自己紹介で,「契約書を書いた量より,プログラムを書いた量のほうが多いですね」などという話をするのはやめよう。


8年間,飽きっぽい自分としては奇跡的に同じ事務所に身を置いて仕事をしてきたわけだけれど,同僚,スタッフなどの内部環境のほか,同業者,クライアントなどの外部環境も含め,総じて環境には恵まれた。


とはいえ,まだまだ先は長いことを考えると,このままでいいのか,これから何をするのかというキャリアについては考えない日はないくらいの「悩める中年」ではあるのだけれども*1


この業界は,同期(同じ修習期)の繋がりが一生モノだといわれるけれど,私はストレートに大学を出た世代とは10歳以上離れるので,同期に友人は少ない。とはいえ,実務に出てまもなく,同期同クラスの一部の仲間とは,(ほぼ)毎月勉強会を続けていて,通算70回くらい実施しているくらい濃い縁が続いている。同期なので,当然,みな弁護士(法曹)9年目に突入したことになる。先日,忘年会で,その勉強会の多くのメンバーが揃ったので,法曹9年目がどんなキャリアを歩んでいるのか,少ないサンプル数だが,(ほぼ)年齢順で挙げてみると・・・


Aさん(男)は,法科大学院に入る前は金融機関に勤めていた。弁護士登録後も,やはり金融機関に勤め,インハウスローヤーを続けている。


Bさん(男)は,法科大学院に入る前はエネルギー系の会社に勤めていた。弁護士登録後も,Aさん同様,インハウスローヤーを続けている。


Cさん(男)は,法科大学院に入る前はメーカーに勤めていた。弁護士登録後は,大手事務所に勤めていて,現在も同じ事務所でアソシエイトをしている。


Dさん(私)は,法科大学院に入る前はコンサルティング会社に勤めていた。弁護士登録後は,ブティック系事務所に入り,現在も同じ事務所でパートナーをしている。


Eさん(男)は,旧試験を受験していた。弁護士登録後は一般民事系の事務所に勤め,最近,別の事務所にパートナーとして移籍した。


Fさん(女)は,社会人経験があり,弁護士登録後は,大手事務所に勤め,2度の出産を経て,現在も同じ事務所でアソシエイトをしている。


Gさん(男)は,理系の修士から法科大学院に転じ,弁護士登録後は一般民事系の事務所に勤め,数年前に別の事務所にパートナーとして移籍した。


Hさん(女)は,弁護士登録後,小規模事務所に勤め,数年後に移籍。出産を経て,今もバリバリ働いている。


Iさん(男)は,弁護士登録後,大手事務所に勤め,現在は米国留学中。


Jさん(男)は,弁護士登録後,企業法務系事務所に勤め,数年前に同期らと独立。大変充実している感が出ている。


Kさん(女)は,弁護士登録後,小規模事務所に勤め,数年後に大手企業のインハウスローヤーに転じた。


全員,悩んだり奮闘したり,重大な決断をしながらキャリアを積み重ねている。幸い,成仏した人はいない模様。私自身も,このメンバーから学んだり刺激を受けたりしながらキャリアについて悩み続けている。

*1:ことしは参加しなかった法クラ・アドベントカレンダーでは,法務パーソン,弁護士のキャリアの話題で盛り上がっている。大変興味深く拝読している。