Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

AIとバックギャモン、将棋 (先端技術と立法課題研究会)

板倉陽一郎先生から声をかけていただいて首記のワークショップにパネラーとして参加させていただいた。

sites.google.com

メインスピーカーはバックギャモンチャンピオンの望月正行さん。すでにスライドがアップされている。

www.slideshare.net

資料の内容も興味深いが、お話が上手で、「あ、これ将棋でも当てはまるなー」と思いながら楽しんで聞くことができた。将棋界でも、森内九段、片上七段などバックギャモン愛好家、トッププレイヤーは多い。

将棋よりも早い時期にトッププレイヤーの力を上回ったバックギャモン業界では、もちろん研究にAIの利用は欠かせないが、今でも人間同士の勝負の魅力は全く失われていないという。将棋界の一歩先をいく業界としてAIとの共存、発展の状況が参考になりそうだ。

AIが発展したことによって、様々な局面の研究が進み、未知の分野が減ったことが寂しいという指摘があった(スライド17)。将棋はどうだろうか。局面の数が比べものにならないくらい多いからか、私の印象では、まだまだ掘り当てられていない鉱脈がたくさんあり、掘り尽くすには数年、数十年は余裕でかかるのではないだろうか。

上野達弘先生からは、「棋譜と著作権」についてコメントがあった。知財の専門家の9割は「棋譜には著作権は生じない」と考えているだろうと(とはいえ、明確に対局者による共同著作物であると述べる加戸逐条も紹介されていた。)。また、望月さんによればバックギャモン界では将棋と比べて棋譜の利用に特段の制限もないとのことだった。

予定されていた2時間があっという間に終わった。ほとんどオーディエンスとして楽しませてもらったのだけれど、貴重な機会をいただいた板倉先生、寺田先生ありがとうございました。