今日(6/12),同業者間で話題となったのは,日本最大規模の法律事務所である西村あさひ法律事務所が,法人設立するとともに,大阪・名古屋に支店を出すというニュース。
http://www.jurists.co.jp/ja/topics/others_12369.html
ニュースの内容そのものは,特に「へぇ」というくらいで,あまり興味はないのだが,すでに飽和状態にある大阪,名古屋の弁護士マーケットに,最大事務所が支店を出すということで,多少の影響は出るはず。
そこで,ツイッター上では話題がいろいろ発展したが,「西村あさひのフィーじゃ,仕事を依頼する顧客がいるだろうか」という話から発展し,会社法の立法にかかわった葉玉先生のコメント(要旨は,大手事務所のフィーは単価は高いかもしれないが,会社法に関する回答を即座にできる専門弁護士と,長時間調べないと答えられない一般の弁護士を比較すれば,決して高くないという話)にまで及んだ。
(このあたりは,川井先生のブログで言及されている)
確かに,私も同感。同じ弁護士でも専門性,領域は様々で,しかも上記の会社法の話一つをとってみても,条文や文献を見て正しい答えにたどり着くかどうか,単純に時間差が生じるだけではない。知財の分野でも,侵害してる/してない,似てる/似てないの等の判断は,そもそも一定の経験,知識を積まないと迂闊なことはいえない。
というわけで,専門性を身につけた弁護士に,その専門分野について相談する場合には,時間が短く,かつ,精度の高い回答を得られるという意味で,それなりのフィーを支払う価値があるんじゃないかと思う。
私の場合,まだ弁護士として大した経験も積んでいないわけだが,敢えて専門性を挙げるならば,システム開発に関する紛争予防・解決。これは,SE,PMとして1000人月超・数年単位のプロジェクトをいくつかやってきた経験と,弁護士登録後も,比較的短期に訴訟,訴訟前の紛争,契約実務をたくさんやったところに基づく。だいたい状況の想像はつくから,膨大な量のファイルを持ってこられても圧倒されることはないし,エンジニアやマネジャーも問題なく現場の言葉で話ができる。
こちらとしては,
- あと2週間後に納期だが,クライアントの状況からすると確実に納品そのものを拒絶されそうだ
- 延々と追加要求が出てきて止まらないが,どうやって追加報酬請求するか,要求をストップさせたらよいか
といったベンダ側の相談や,
- とりあえず納品されたが,まったくお話にならないレベル。当然払わなくてよいんですよね
- 予算の関係で,プロジェクト中止したいが,何とかソフトランディングできないか
といったユーザ側の相談については,現在進行形の事案だけにやりがいがあるが,現実に相談に来られるケースは,「訴状が来ました」「解除通知が来ました」という段階のことのほうが多い。
現在進行形の場合,将来の紛争突入に備えて,エビデンスを作ることの指南ができるが,ひとたび紛争になってしまうとなかなかそうもいかない(たとえばプロジェクト管理義務を履行したことの証拠は,紛争突入後に作れない。)。また,その段階なら紛争回避可能性も高いので,弁護士報酬の費用対効果も高いはず。だから,紛争の芽の段階で,弁護士にもっとアクセスしてもらいたいと思うが,その点はマーケティングがまだ足りてない。
・・と,最初の書き出しが何だったのか思い出せなくなってしまったが,今日のエントリは別の作業しながら,かつ酒も飲みながらなので,支離滅裂なのは承知の上,とりあえずここまで。