Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ゼミもあと2回

ちょうど先ほど,ゼミ生の答案の添削を終えて返送した。


答案のファイル名は,「第41回・・」とある。2年半前の10月から同じ学生を相手にゼミを行っているので,月に1,2回やってきた計算になる(未修者の1年目から)。本番試験まで2カ月を切っているので,明後日のゼミを入れても,あと2回。


毎回必ず問題演習を行い,事前に答案を書いてもらうことにした。ゼミの日は,くどいくらい基本的な事項の確認をするようにした。というか,私自身が難しいことはわからないので,そうせざるを得ない。


答案を見たときにも,基本的なことをしつこく指摘した。例えば,「唐突に制度趣旨や定義から書き出さない」「条文・判例で解決できない固有の事情,問題の所在を明確かつ簡潔に指摘する」「条文から出発。文言の解釈は,必要に応じて行う」「反対説に対する批判をしただけで,自説を採るべきであることの論証になっていない」「規範を立てる際に,問題文固有の事情を織り交ぜながら論じない」・・・など,きりがない。


ゼミ生には,答案を書いてもらうだけでなく,週次で「勉強報告」をしてもらった。先週やったこと,やった時間を報告するとともに,予実の対比と,次週の予定。MLを使って,ほかのメンバーにも公開した。ときどき喝を入れないと,だんだん報告が欠落したり,時期が遅れていったりしたが,基本,毎週報告してもらった。


このことの効果は,勉強量,勉強内容が十分なのか,足りてないのか,客観的に知るきっかけが与えられることに加え,周りのメンバーがこの時期,何をやっているのかを知ったり,計画的に勉強を進めようというきっかけをつかんだり・・と,いろいろある(と思っている)。


ここには書けないくらい厳しく高い目標を設定しているので,ゼミ生には大きなプレッシャーがかかっているかもしれない。しかし,「ギリギリ合格」を目標にしたのでは,合格はおぼつかない。


正直なところ,こちら側の負担もそれなりにあるので,無報酬(実際は,飲み代負担もある)で続けるのも限界はある。幸い,毎年毎年,卒業生が後輩指導を志願してくれているので,3年くらいやれば,うまくローテーションできそうだ。


他方,私にもメリットはたくさんあった。今の実務では偏りがち,忘れがちな法律知識を,薄く引き伸ばしてくれたり,最新判例のアップデートにも役立った。そして何より優秀な後輩たちとの人的関係が残る。


そう思いつつ,あと2回になった。


本番の試験のとき,合格発表のときは,自分のとき以上に緊張するんだろうな。


(ボランティアの自分と比べて,大学の教員は学生の合格・将来に対して親身になっているようには見えないところにはいろいろ思うところがあるけれど・・)