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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

2016年司法試験合格発表に寄せて

昨日,9月6日に司法試験の合格発表が行われた。合格者数が1583人。新司法試験制度のもとでは,初年度の2006年を除いて最低の合格者人数となった。


とはいえ,受験者数が大きく減ったので,合格率が大きく下がったわけではない。
予備試験経由の合格者数が235人(合格率61.5%)だったので,法科大学院卒経由の合格者数は1348人(同20.7%)にとどまった。


卒業法科大学院別でみると,トップの一橋でも49.6%で,半分を下回った。ほかに,東大,京大でそれぞれ48%,47%。トップクラスのロースクールでも合格率が半分に達しない。しかし,予備試験勢の多くは,学部生,ロースクール2年で予備試験を通過しているので,法科大学院はエース級を欠くなかで,意外と健闘しているといえるのかもしれない。また,上位校は相変わらず既修の合格率が高く,卒業初年度だと7割程度を維持している。


ロースクールの上位,下位の較差は開くばかりで,合格者0人,1人(いわゆるゼロワン(違)校)が18校もあった。合格率一けたの大学も多い。その中にはすでに募集停止している大学も多い。


こうしてみると,法曹を目指す王道は,学部時代に予備試験を目指し,同時に上位校の既修コースを受験する。仮に学部在籍中に合格しなくても,既修1年目でやはり予備試験を受ける。仮にLS在学中に合格しなくても,上位校の既修を出ていれば1回目で7割は受かる。


私は,積極的に合格者を減らすべき,という議論には異を唱えたいところであるが,粗製乱造を奨励しているわけでもないので,これだけ受験者数,法科大学院入学者数が減少しているとなると,一定の品質を維持するために合格者数が減っていくのはやむを得ないなあと思うところ。


こういうマクロ的な話はさておき,今年の合格発表は久しぶりに大変緊張して迎えた。というのも,2年前から担当していたゼミ生たちの結果が判明する日だったからだ。トータルで10回程度しか答案添削をしていないので,実力向上に寄与したとは言い難いのだけれど,合格発表の4時を過ぎると気もそぞろになった。


結果,6人から合格の報告があり,残念ながら1人は不合格。残り2人からは現時点まで連絡がない。合格者には心からおめでとうと言いたい。法曹としての立ち上がり時期は,厳しい環境になっているけれど,ぜひがんばってもらいたい。


もう一つ,うれしかったのは,最初に担当したゼミ生(2009年入学,2012年卒業)の一人が,5回目の受験で合格したこと。再チャレンジ時のゼミではかなり厳しいことも言ったけれど,その粘り強さはきっと生きると思う。