Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

平成23年度新司法試験合格発表と母校LSについて

こちらも今さらながら8日に発表された司法試験の結果について。


ざっと大ぐくりなところでは,

  • 8765人が受験して,2063人が合格。
  • 合格率23.5%は過去最低(これまでの過去最低は昨年の25.4%)
  • 三振者が1324人(これはおそらく過去最高)


といったところ。


昨年,50.0%の合格率で,2位に落ちた母校(一橋)の合格率は,57.7%と上昇し,ふたたび1位に返り咲いたようだ。受控率も14.4%で,決して低くはないが,全体の受控率(26.3%)からすると,だいぶ低い。


昨年は,未修者の合格率が低かったことが残念だったが,今年は,未修者合格率も46.7%で,2位に差をつけての1位となった。昨年は一時的な現象だったのだろうか。


これで,新制度になってからずっと好調を維持しているが,どうもその原因があまりよくわからない。他校の状況と比較して(失礼ながら)教員のラインナップが特に優れているということもないだろうし。私なりに,他校の様子も伺った上で,母校のよいと思われるところを列挙してみると・・

  • ドロップアウトする人がほとんどいない。つまり,全員が真剣に「受かる」つもりで勉強に励んでいる。このことは当たり前のようでも,そうでない学生が一定割合いるLSには,その影響は悪く作用するだろう。
  • ちょっと田舎にあって,勉強を阻害する環境がない。確かに,居酒屋,カラオケくらいはあるだろうけれど,繁華街は近くないので,若くて誘惑に弱い受験生からすると,助かるのかもしれない。
  • 余計な課題が少ない。レポートなどは出されるが,他校では「意味あるの?」的な宿題があるようだが,そういうのはあまり聞かない(だからといって,受験指導が行われているわけではないけれど。)。


2点目,3点目はどうでもよいことで,結局のところ,1点目が一番重要なのだと思う。このことは,受控率が,新制度創設以来,一貫して低いことにも表れている。ドロップアウトしない理由は,「この学校で,この仲間とがんばれば,必ず合格できるはず」ということが,実績に裏打ちされているので(1期,2期くらいまでも通算合格率は90%くらいだろう),簡単にあきらめる理由はないからだろう。それが結果にも結び付くなど,いいスパイラルができているように思う。


なんとかここに4点目として,「卒業生が,在校生の面倒をみるというサイクルが確立し,個別的ケアが浸透している。」というところが加わればよいのだけれど。


もっとも,当の本人にとってみれば,受かるか,落ちるかの2拓であるから,率で論評してもあまり意味はない。合格した人には,その先,もっともっと大変なことが待っているよ,と伝えたいし,残念ながら合格できなかった人には,よくその敗因を分析し,ひいては今後も受験し続けるかどうかも含めて,よく考えたほうが良い,と伝えたい。


合格者数は,これで4年連続して2000-2100人の間に収まっているので,来年もおそらくこの傾向が続くだろう。当初は3000人と言われていたことからすると,ずいぶん低いところでサチってしまった。しかしながら,2000人に抑えても,なお就職状況は危機的状況にあり,合格者は早くも次の競争に晒されている。


来年はいよいよゼミ生の受験の時期。自分の時以上に緊張するかもなあ。