Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

長くて驚きの一日

小学館学年誌杯争奪全国小学生将棋大会という大会に参加した。


通常の大会と違って,おそらく唯一の学年別に行われる大会。それだけに,関東近県はもちろん,全国から(確認できただけで,大阪,青森,広島・・)参加する子がいて,参加に際して抽選が行われた学年もある。


各学年32人がエントリして,4人ずつ8つのブロックに分かれる。2勝勝ち抜け,2敗失格で,16名が決勝トーナメントに進む。まだ1年生なので,見た感じでは,7,8級ぐらいが決勝トーナメントに進むラインではなかろうか。これが3年生になると,初段でも予選敗退になってしまう子がいるので,レベルの差はかなり大きい。


1年生では,先のJT杯でベスト4に入った子が最大のライバル。できれば決勝まで当たりたくないなと思っていたが,決勝トーナメント2回戦,ベスト8のところで当たってしまった。これまで,すべて5分くらいで決着がついていたことを思うと,ずいぶん長い将棋に感じる。近くで見てしまうとこっちまで緊張してしまうので,じっと座って待つこと20分くらい?で勝ちの報告。かなりしんどい将棋だったようだ。あとの準決勝,決勝は,息子いわく「お父さんと同じくらいの強さ」の相手だったので,特に危なげなく勝利。優勝。


ここで,本日の大きな目標は達成。


この大会の面白いところは,各学年の優勝者,準優勝者,合計12名が「グランドチャンピオントーナメント」を行うこと。いわば無差別級の勝負が行われる。ここから先は,勝ち負けではなく,「強い人に当たって勉強させてもらう機会」だと割り切って,落ち着いて見学しようと思った。1回戦の相手は4年生の準優勝者。


わが子ながらエラいな,と思ったのは,序盤から時間をたっぷり使って,ゆっくりとした動作で指し進めていることだった(というか,私には将棋の内容はもはや解読不能)。チェスクロックが導入されていても,相手より時間がだいぶ少なくても,落ち着いて丁寧な動作にみえる。気づいたら,1回戦の他の3局は終局し,長男の戦いも10分の持ち時間を使いきって,1手30秒の秒読みに。


秒読みになってからも,30秒ギリギリまでうまく時間を使っていたと思う。相手の攻撃をうまく交わしながら,手番が回ってきたところで必至をかけて,なんと4年生相手に勝利。これにはホントに驚いた。


続いて準々決勝の相手は,3年生の優勝者。青森から来た子のようで,同じ三軒茶屋道場のO君を学年別決勝で破っている。


前の対局が長引いたこともあり,ほとんど間をおかずに対局が始まったが,こちらもまただいぶ落ち着いたしぐさ。ただ,だいぶ劣勢に立たされたようだ。半ばあきらめてしばらくウロウロして戻ってきたらまだやっている。この対局も秒読みになってもつれているようだ。対局の様子はよくわからないが,さらに何手か指したところで相手の子が「負けました」のジェスチャー。これにはさらに驚いた。後で聞いてみると,受けなしの状態から寄せに行ったら,なんとか詰んだとのこと。


ちょっと今日の長男には何かが「憑いて」いるのかもしれない。これでベスト4。


ただ,グランドチャンピオントーナメント戦は,長男に限らず,低学年の善戦が目立った。2年生は5年生に勝ったし,3年生も6年生に勝っている。


準決勝の相手は,今年の小学生名人戦準優勝の5年生Y君。テレビで見た子の胸を借りられるという,最高の機会。ただ,ここまでの勢いもさすがに通用せず,横綱相撲でほぼ完封負け。3位決定戦に回ることになった。


3位決定戦の相手は,なんと同じ三軒茶屋道場のO君。道場では何度となく対局していて,勝ったことがないわけではないが,実力的には大駒一枚分近くの差があるんじゃないかと思う。


こちらの対局は,決勝戦の裏番組として行われていたものの,途中から,かなり多くの子どもたちが取り囲みだした。この対局も相手に大駒をさばかれて,苦しい展開。粘っているうちに,いつの間にか秒読みに入り,さらに人垣が多くなって,私からは対局する姿は見えなくなった。どんな様子か全然わからない状態がしばらく続いたが,モールの中からボールが出されるように,対局者の二人が出てきた。なんと,この対局も勝ったと。


「憑き」は,3位決定戦まで維持されたようだ。それにしても,レベルの高い相手になればなるほど,対局態度が落ち着いてきて,顔つきも真剣になるのには驚いた。これは間違いなく道場での先生の指導のおかげだろう。


表彰式,写真撮影・・と,会場を出たのは5時過ぎたころ。丸一日,親までどっぷりと疲れる。


賞品は,学年優勝と,全体3位を合わせて,彫駒,二寸盤,駒台とチェスクロック。こうなると知っていれば,足付盤や駒,チェスクロックを買うのをもうちょっと引っ張ったのだが。


予想外の好成績のおかげもあって,会場ではプロの先生,スタッフ,他のお父さん・お母さんともたくさんお話ができたので,親も楽しめた一日である。