Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

修習で思ったこと(1)

これからランダムに,不定期に,司法修習を終えて感じたことを書いていこうと思う。若干,批判・愚痴が多くなるかもしれない。


まずは,期間のこと。


われわれは修習期間が1年だった。終わってみればあっという間だったかもしれないが,実に長いと感じた。ただ,この1年という期間になったのは,昨年からのこと。ここ数年来,2年→1年6か月→1年4か月と,徐々に短縮された結果,1年になったということを振り返れば,1年というのは相対的には短い。現に,実務家の諸先輩方とお話をするたびに「1年は短いねえ」と言われる。


長いと感じた一番の理由は,1年に短縮された割にインテンシヴな時間を過ごしたというわけでもなく,どちらかというと間延びした時間が流れていたからだと思う。要するにだいたい常に(一般のサラリーマンなどと比較して)ヒマなのである。これは修習生の人数が増えて,きめ細かい指導ができなくなったためか,もともとそういうものだったのかよくわからない。1年間で得たものを振り返ってみると,集中的に体験・習熟すれば,3から6カ月もあれば十分だっただろう。


修習期間中は,同期との交流が深まり,その人的関係がその後の法曹人生において重要だともいわれる。確かにそうかもしれない。ただ,そのための期間として1年は長すぎる。前々職において,同期と過ごしたのは研修期間の2か月弱だが,会社を変わったりしても,それなりにつながりは継続するし。また,今の制度では,ロースクールでやはり似たような人的関係の育成を,しかも,2・3年している。


社会人としての基礎的素養を身につける期間だともいわれる。しかし,修習生は,常に集団行動し,学生の延長のような一般の社会人とはかけ離れた存在だから,1年かけたほど社会人としての素養も身に付かない。現に,電話をとったり,名刺を渡したり,スケジュール管理したり,報告・連絡・相談するという基本動作は,修習を終えればおのずと身に付くということはない。


もっとも,修習の部分だけを取り出して「1年は長い」とするのは間違っているかもしれない。結局,何度か書いたように,ロースクールに入学してから,社会に出てくるまで5年近くかかることが「長い」のであって,ほかの部分も十分短縮する余地がある。特に,ロースクール卒業から司法試験,合格発表,修習開始まで8か月ぐらいかかるのがもっとも苦痛だった。


(つづく)