Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

正念場

本日(4/2)日経朝刊の「法務インサイド」欄に,「法科大学院正念場」「受験先送りも」などの刺激的な見出しがついた記事が掲載されていた。


いくつか突っ込みどころはあるとして,私がもっとも理解できないのは,「受け控え」する人がとても多いことである。


確か,われわれが入学したときの定員と,昨年不合格だった人を合計すると,確か6800人ぐらいになるはずである。しかし,現実に出願した人は5400人程度だというから,残る約1400人はどこへ行った?ということになる。考えられるのは,(1)留年,(2)自主退学((3)以外の事由による),(3)現行試験合格と,(4)卒業したが受けるのを控える,(5)そもそも入学者が定員を下回った,といったところだろう。


一期生と比べてわれわれの世代で(3)はかなり少ないと思われる。(1)についても,「厳しい修了認定」を現実に実践している法科大学院は少なそうだ。(5)に関してはよくわからないが,定員以上入学しまったところもあるだろうから,ある程度相殺されるはずだろう。そうなると,約1400人は,(2)か(4)が大半を占めるということになる。


(追記:上記段落中の最後の文において,(4)と書くべきところを(5)となっていたため,誤記を修正した)


確かに,ロースクール制度になって三振制度ができたから,3回以内に合格できなければ退場を迫られる。だからといって,1球目から見逃しするというのは,もったいないと思う。


その記事にもあるし,一般的に知られていることだが,翌年以降はさらに受験生も増える。合格予定者数が増えるとしても,当面想定合格率は下がっていく。1年でも早く受験しておいたほうが得である。


そして,それ以上に,これから数年は一般の新社会人と異なり,就職難傾向が激しくなるであろうから,これもまた,遅れればそれだけ不利になる。むしろこっちのほうが重大な問題だと思う。もちろん,法曹としての競争も激化するから,不必要に遅れて市場に算入することはデメリットになるだろう。


仮に三振してしまうとしても,再チャレンジのことを考えると,5年かけて三振するより3年で三振したほうがよい。


・・などと考えると,1球目を見逃す利点が思いつかない。


ところで,「受け控え」する人の中には,「願書をそもそも出さない人」と「願書は出したけれど直前でやめる人」がいると思われる。後者については,上記の1400人にはカウントされていないから,実際の受験生はもっと減るかもしれない。