Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ITビジネスの契約実務〔第2版〕刊行予定

商事法務のサイトに2021年10月発売予定と掲載されていたので、ここでフライングして紹介をさせていただきます。

 

www.shojihomu.co.jp

初版が出たのが2017年2月なので、もうそれから4年半が過ぎてしまいました。初版発売後ほどなく私が事務所を離れたので、改訂の話がなかなか出なかったのですが、今回ようやく改訂することになりました(作業は私1人が行いましたが著者名は変更ありません。)。

だからというわけではないですが、初版から大幅にボリュームが増えたとか、内容を大きく変えたということはなく、この間の変化(多くは民法、著作権法、個人情報保護法の改正関連)に対応した最低限のアップデートをしたということにとどめています。NFTとかはもちろん、AIの話もほとんど出てきません。ITを取り扱っているとはいえ、どちらかというとトラディショナルなITが主な対象です。そういう意味では実務バリバリの方には物足りないかと思います。

最先端の話は専門書籍が出ています。本書は最先端の議論を開陳、紹介することを目的としているのではなく、「よくわからないけど法務に配属された」「契約レビューはやってるけど、開発委託、ライセンス契約はほとんど見たことない」という方が主なターゲットなので、チャレンジは別のところですればいいと思っています。

実際に、この4年間、多くの企業の方や弁護士から「新人に勧めておいた」「書架ではなくデスクに置いている」といったありがたい言葉をいただきました。それでも契約実務に慣れていない方からすると、本書の内容は難解なのではないかと思います。改訂、校正にあたって、全文を5回は読み返し、細かな表現なども見直しました。逆に読みにくくなってしまわないか、心配になったりもします。

この4年間の変化といえば、上記のような各種法改正のほか、契約レビューAIが実用化されてきたことや、契約締結プロセスの変更(電子署名)も挙げられます。この辺りのことも「コラム」で書こうと思っていたのにすっかり忘れていたことを今思い出しました。

契約書のレビューをしてくれるAIの精度はどんどん高くなってきていることを実感していますが、法律のデフォルトルールと契約条項との関係を理解しながら修正、コメントするには、本書のような存在がまだまだ必要だろうと思います。

初版を持っている方も、そうでない方も、手に取っていただければ幸いです。