Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

【改訂新版】良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

著者のみなさまから改訂版をいただいた。


ウェブサービスの運営者,法務担当者にとって,この業界での「バイブル」としての不動の位置を占め続ける名著が6年ぶりに改訂されました(橋詰調の導入文を考えてみましたが,うまく書けません・・)。


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右側が新版「利用規約本」


というわけで,本ブログの文体に戻す。


ぱっと見たところでも,民法改正(債権法改正,成年年齢),個人情報保護法改正といったメジャーどころの法改正が取り込まれていることはもちろんのこと,特許庁のデータベースがIPDLからj-platpatに変更されていたり,免責条項の例として,コインチェックの規約改正が取り上げられるなど,細かなアップデートには余念がない。


全体の構成などに大きな変化はなく,そういう意味での驚きはない。しかし,逆に,6年前の構成や考え方が現在までも維持できるというだけ,初版の構成がしっかりしていたということ。


この6年,基本的なことだけど念のために確認しておきたいな,というときには本書に多く助けられた。そういう意味ではプロユースにも十分耐えるものであるし,今読んでも新鮮さがある。


「基本的なことだけど念のために確認しておきたいな」というときは,従来は,経済産業省「電子商取引及び情報材取引等に関する準則」が参照され続けてきた。しかし,もう最初に編纂されてから20年近い月日が経過し,その後も継続的にアップデートされてきたとはいえ,最近の問題に対して適切な答えを用意しているかどうかというと疑問もある(私もここ数年,この準則のWGメンバーだったので,こういった批判をすべき立場にはないのだが)。本書を始め,実務をよく知る弁護士,法律実務者が惜しげもなく情報を出していることにより,そういった役割は徐々に他へシフトしているように感じる。


仮に,当事務所が修習生を採用するとして,課題図書を3冊まで絞り込んだとしても本書は残ることは間違いない。そんな一冊(残る2冊は・・?)。