毎年恒例の,町村泰貴先生の「サイバー判例回顧」勉強会(東弁消費者問題特別委員会,インターネット法律研究部共催)に出席してきた。
昨年の様子。
http://d.hatena.ne.jp/redips/20170724/1500907622
このときのレジュメをカバンに入れておいて,紹介された判例を空き時間などで判例DBで読んだりブログの元ネタにしよう・・と思いつつ,1年が過ぎていたorz
構成は昨年と同様で,注目のテーマをフィーチャーして関連裁判例を挙げつつ,「その他」を含めて150件ほど紹介されていた。
注目テーマからいくつかピックアップすると,
GPS端末令状なし捜査(2017年大法廷判決のその後)
昨年の大法廷判決(最大判平29.3.15)を受けて,GPS端末の無断設置による証拠は違法収集証拠であるとして,証拠能力を否定し,無罪とした事例(東京地判平30.3.22)もあるが,証拠能力を否定しつつも,有罪とした事例もあった。
忘れられる権利
昨年の最高裁決定(最決平29.1.31)を受けたものの,犯罪歴を検索結果から削除することを認めた事例は多くない(否定例:東京高判平30.1.25(歯科医師法違反),東京高決平29.10.6(飲酒運転逮捕歴)など)
NHK受信料の負担
これも数年前から注目だったが,最大判平29.12.6が極端にNHK寄りの判断で決着がついた。その後も,客室のテレビの台数ごとの受信料支払を命じた事例(最判平30.2.9)や,ワンセグ受信可能端末についての受信料支払義務を認める事例(東京地判平29.12.27)が相次いだ。