Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

サイバー判例回顧2016-2017

毎年恒例の,北大・町村泰貴先生*1の「サイバー判例回顧」勉強会(東弁消費者問題特別委員会,インターネット法律研究部共催)に出席してきた。


2011年ころからほぼ毎年出席しているが*2,当ブログでは触れたことはなかったようだ。今年も,2016年7月から2017年6月に出されたインターネット関連,サイバースペース関連の裁判例を合計で「106件」紹介されている。なお,判例集判例DBからだけではなく,各種新聞記事等からもピックアップされているので,判決文にあたれるわけではないものも紹介されている。例年よりも件数は少な目か。


「注目事件」ということで詳しめに紹介されたのは,以下のところ。

  • GPS端末の令状なし設置(最大判平29.3.15)言わずと知れた著名事件。
  • GPS端末の令状なし設置(東京高判平29.5.30)前記大法廷判決を受けて証拠排除に加えて無罪を言い渡した事例。
  • 忘れられる権利(最決平29.1.31)これも著名事件*3
  • NHK受信料に関する下級審判決(東京地判平29.3.29ほか)判断も分かれている状況で,憲法適合性について最高裁で判断される見込みとのこと。
  • CG画像と児童ポルノ(東京高判平29.1.24)
  • ろくでなし子事件(東京高判平29.4.13)


しかし,発信者情報開示請求,削除請求の事案が毎年多い。枯れたテーマかと思いきや,少しずつ新しい論点が表れてきているようなので,自分ではほとんど取り扱わないけれど,きちんとキャッチアップしておかなければならないなと思う。


最近,別館の判例ブログの更新頻度が低いので,ここで紹介された事案からいくつかピックアップして掘り下げてみようかなと。


自分が取り扱った事件も2件,収録されていた。

*1:Twitter ID: @matimura, ブログ http://matimura.cocolog-nifty.com/

*2:先生の渡仏中は1回休みだったかと思う。

*3:http://d.hatena.ne.jp/redips+law/20170219/1487510875 にて紹介している。