Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

2016年を振り返って

そろそろ2016年も終わるところで,この1年を振り返ってみる。


前のエントリでも書いたけれど,弁護士登録から丸8年が経過した。前職の経験年数を超えたことになる。これから先もずっと「弁護士業」を続けるかどうかはわからないけれども,よく続けてこられたなと思う。


今年は本エントリを含めて28回しか当ブログに投稿できなかった。別館のIT・システム判例メモでも,読まなくちゃ,紹介しなくちゃという裁判例が溜まったまま,紹介できたのは22個にとどまった(多い年は50くらい紹介していた)。多忙だったからという理由で片づけるのは簡単なのだけれど,昨年,一昨年と比べて著しく忙しくなったというわけでもないので,来年からはまた情報発信をもっと積極的にやろうと思う。


改めて振り返ってみると,事務所のメンバー,クライアントだけでなく,友人,知人に恵まれて,あっという間に過ぎた1年だった。


事務所は,この1年で新人,中途合わせて5人の弁護士が増えて25人になった。今年は,個人情報保護法景品表示法の法改正に携わったプロが加入し,IT関連のプラクティスの体制が強化されたことが自分としても大変心強い。もっとも,過去5年,退職者がいないという奇跡の状態が続いていたけれど,今年の年末を以って退職する弁護士が数名いる。


ずっとシステム開発関連についてあれこれ言い続けてきた結果,大型開発案件の契約,訴訟,紛争を取り扱うことが徐々に増えてきた。かつて相手方代理人だった弁護士からの紹介,あるいは相手方だった企業からの相談があったのはうれしかった。今年は,ADR機関での仲裁人等として当事者以外の立場から関わる機会があったこと,システム開発訴訟は,時間,労力がかかる割に未だ予測可能性に乏しいことを考えると,システム開発トラブルを裁判という手続での紛争解決に疑問を感じさせられることが多かった。11月の情報ネットワーク法学会では,システム開発紛争をテーマにパネルディスカッションを行い,この分野のエキスパートの方々と意見交換ができたのがいい経験だった。


ソフトウェア関連を中心に,知財(特許,著作権,不正競争,商標)の訴訟,紛争もあった。ネットでの情報発信をきっかけに,知財法違反事件の刑事事件の弁護人を務めることにもなった。


IT・ウェブサービス関連では,今年の流行だったAI・ディープラーニング関係の勉強会や,ベンチャー企業のサポートを通じて,大変貴重な経験をさせてもらえた。「ずっと昔になりますが,修士のときは自然言語処理の研究をやっていたんです」という話題を掴みで何度も使った(笑。来年もさらにAI関連のビジネスは盛んになると思うと楽しみ。


社外監査役は,上場・非上場含めて今年も5社(うち4社が監査役会設置会社)。ここまで多くを兼務することは,コーポレートガバナンスコード的にも好ましくないので,いつまで続けられるかわからないが,社外役員の経験は弁護士業のプラクティスにも非常に有意義で,双方にシナジーがあるので,いけるところまではがんばっていきたい。


今年は,ネット媒体やブログ以外の紙媒体での情報発信が少なかったのは反省点。現在,事務所の同僚と本を執筆中で,来年の早い時期には出版できるところまで漕ぎつけられたので,もうしばらくしたら宣伝したい。