Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

2018年を振り返って

年末恒例の振り返り。


昨年の振り返り記事はこちら

弁護士登録10周年

12月18日で弁護士登録10周年を迎え,11年目に突入した。いつも書いているけれど,この飽きっぽい自分が同じ仕事を10年間続けてこられたのも,弁護士という仕事が奥深くて,飽きさせない魅力がある仕事だからなんだろうと思う。最近では,若い弁護士たちが,リーガルテック関係で起業したり,経営幹部になったりするのを見て,素直に大変うらやましいが,自分はもうしばらくこの仕事を続けられそう。


仕事の内容は,紛争系,特にシステム開発の紛争系の割合が増えた(もともと一定の割合は占めていたけれど)。もとより,こうした事案の解決・予防を目指して弁護士に転身したことを考えれば,やりたい仕事の割合が増えたのは喜ばしいことではあるけれども,弁護士共通の悩みとして,特定分野の仕事が集中すると,つぶしが効かないんじゃないかという不安が生じたりもする。自分でコントロールできるものではない以上,如何ともしがたい。一つ言えることは,自分のやりたい分野があるときは,雑誌・セミナーのほか,ブログ,SNSで常に情報発信し続けることが重要で,それを5年,10年続けてようやく,その種の分野の知識,経験が積み重なっていくということ。


それにしても,紛争処理は,いくらやっても予測可能性の精度がなかなか上がらない。思ったとおりの結果にならないことがあると,とても凹む。相談を受けるたびに「ケンクヮヤソショウガアレバツマラナイカラヤメロトイヒ」という宮沢賢治の言葉を思い出して,紛争予防・回避に注力するようにしている。



シティライツ1周年

citylights work tribe
City Lights "Work Tribe"

2017年12月1日にシティライツに合流してから1年が経った。その間,ふたりのアソシエイトが加わり,これから事務所全体のケイパビリティを大きく・深くしていくことができる環境ができた。もっとも,パートナー3人に共通して,規模を追求する考えはないので,毎年のようにアソシエイトを採用するということはないだろうけれど,気の合う仲間をパートナーとして迎え入れていく,というような横の拡がりは今後もあるかもしれない。


水野祐のプレゼンスが高まっていくのを見ているのも楽しい。自分がそれに何か貢献しているわけでもないけれど,どんどん新しい弁護士のスタイルが生まれていく中で,彼はずっと「ユニーク」であり続けている。

チームスピリットの上場と社外役員,スタートアップ

2011年にシリーズA株式を発行して,セールスフォースらから資金調達したチームスピリットが,8月にマザーズに上場した。

www.teamspirit.co.jp

私は縁があって,シリーズAのときから社外役員を務めていたが,このラウンドを含めて数々の資金調達や上場審査に過程を(内部からではないにせよ)経験できたのは自分の大きな財産となった。スタートアップ,特にB2B SaaSビジネスについていろいろ得た経験は,今後の弁護士業務にも生かしたい。


チームスピリットを含め,現在も社外役員を5社務めている(社外監査役歴を通算すると30年になった。)。規模も業態も機関も文化も異なるので,いずれも気が抜けないし勉強にもなるし大変でもある。そんな中,9月には一番古くから(2010年から)社外役員を務めるwajaがMBOをした。これにより,自分もほんのわずかながら株主にもなった。

www.waja.co.jp

常に漕ぎ続ける。

この業界には,対抗する気も起きないような天才たちがゴロゴロいるけれど,その人たちと渡り歩いていかないと存続できない。なので,自分のような凡人は平静を装って全力で漕ぎ続けないといけないな・・と,常に考えていたのだけれど,ちょうどその様子をぴったり表すようなシーンに遭遇した(羽海野チカ『3月のライオン[14巻]』75頁)。


解説するのも野暮だけれど,宗谷名人や桐山クンのような天才と並んでトップ棋士であり続ける島田八段が「鬼の形相で汗だくで漕ぎ続けないと一瞬で墜落必死」というシーンがある。どの業界も同じで,自分も漕ぎ続けなければと思う。10年目くらいにもなると,一定の貯金が出てきて,つい,気が緩むというか,このまま流そうかと考えたりしがちなのだけれど,このシーンは,いい戒めとなった。

ブログの更新

10月にこんなツイートをした。


今年1年では,本エントリを入れてFootprints(当ブログ)で23本(2017年と並んで過去最低。)で,IT・システム判例メモで14本(2010年以降過去最低。)となった。


ずーっと高頻度で品質の高い情報を発信し続けるハッシーさんや,川井先生は,本当に尊敬してるし,こういうトップランナーがいるからこそ続ける意欲が出てくるので,大変感謝している。


2019年もよろしくお願いします。