ビジネス系の法律実務を扱う場合は,法律家向けではなく,当該ビジネスの現場の人たち,あるいはその業界の法務の方たち向けに解説を書いたりすることが求められる。
相手の土俵に飛び込むことになるので,読み手からすると「あー,この人,実務のこと何もわかってないんだな」「現場のかゆいところに手が届いてるな」ということがすぐバレる。
特に,ケース,たとえ話などを挙げるときに,その弁護士の経験値,理解度がよく現れるのではないだろうか。
セミナーや解説記事などで,ケースを挙げて,得意げにそこに含まれる法的論点を整理してみても「センセイ,そんなサービスやってるところ,どこにもありませんよ」の一言で撃沈されているケースを見たことがある。「業界・実務のことわかってるアピール」が,逆効果になってしまうこともあるから,実は結構勇気が必要だ。これは弁護士に限らず,コンサルなどでも,クライアントの前での「知ったか」がバレるケースは少なくない。
かつては「理系出身」というだけで,技術全般,特許全般の相談事について訳知り顔ができたのかもしれない。かつては「パソコン好き」「Basic Magazine読んでプログラミングやってました」というだけで,IT全般の相談事について専門家を名乗れたのかもしれない。しかし,今は生半可な知識と経験を開陳するだけでは裸の王様になっていくだけなので,本当に大変な時代に突入しつつあるなあと感じる。