たまたま著者の三方とも存じ上げているので,いち早く読むことに。

- 作者: 雨宮美季,片岡玄一,橋詰卓司
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2013/03/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者は業界的には著名な方々で,ベンチャー(特にIT・ネット)のリーガルサポートを長くやられている雨宮弁護士と,法務ブロガーとして情報発信に積極的な橋詰さん,片岡さん。
利用規約という名は付けども,基本的には事業者と利用者の契約条件の塊。民法の原則がスタートラインとなる。しかし,新人弁護士が,この本の内容を知っているかと言えば,3分の1も知っているかどうか。ウェブの世界には(ウェブの世界に限らないけど),サービスの内容に応じて各種の法規制に気を配らなければならないし,経産省の電子商取引に関する準則や,総務省,消費者庁の出しているガイドラインなどの解釈ルールと外れたことはできない。
とはいえ,その内容を網羅的に,緻密に書こうとすると,どうしても内容が難しくなってしまって,現場(サービス企画者,エンジニア,経営者)から敬遠される。書く方も,手間がかかって,なかなか完成にたどり着けず,その間にどんどんルールがアップデートされる・・
そんな状況下で,ありそうでなかった「利用規約の教科書」。文章が平易で,気を付けるべき論点が幅広く示されている。
私がウェブサービス企業の法務担当者だったら,新人が来たところで,「あ,これ3日以内に全部読んどいて。ついでに,ウチの利用規約を見て,問題点・疑問点を洗い出すとともに,競合のA社,B社の利用規約の『穴』を見つけてみて」という感じで使ってみたいところ。
他方,ウェブサービス企業のリーガルサポート専門家であれば,この本に書かれている内容くらいは最低限知っていなければならない。(こういう言い方はおこがましいけれど)私も読み進めていく中で,「知らないこと/間違って理解してたところがあったらどうしよう・・」と不安に思いながらも何とか最後まで無事読み終えることができて,安心したところ(もちろん,巻末のリンク集などの中身までも知ってるわけではないけれど)。