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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

西田章『新・弁護士の就職と転職』

10年以上にわたって弁護士のキャリア、就職、転職に関わってこられた業界通・西田先生による新刊。

 

新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講

新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講

  • 作者:西田 章
  • 発売日: 2021/01/06
  • メディア: 単行本
 

タイトルに「新」とついているように、前作「弁護士の就職と転職」は2007年に刊行されており、自分の修習時代に読んで非常に参考になり、ブログでも紹介していた。

masahiroito.hatenablog.com

西田先生は、精力的に企業、事務所の採用側、転職希望者、法曹の卵らと会っていて、前作から内容の深さも量も段違いである。

これから就職活動を行うロースクール生、修習生の他、転職を考える若手弁護士にとって有益なのはもちろんのこと、採用する側にとっても読んでいて参考になることが多い。もちろん、その道のど真ん中にいる人からすると「いや、ここは実態と違う」と感じるところはあるかもしれない。しかし、多くの人から得た情報を総合して書いてあるだけに、とっかかりとしては十分だと思う。

各部のトビラページに、「司法試験合格後に向けたオンライン情報オススメ」という一言があって、これもまたロースクール生らにとって参考になるだろう。ツイッター、ブログを巡回している人にとってはお馴染みなサイトなのだが。例えば、

  • リーガルテックについて知りたければ、ハッシーさんの「サインのリデザイン」(1部)
  • コンプライアンスについて知りたければ、山口利昭先生の「ビジネス法務の部屋」(2部)
  • 米国留学に興味があれば、渡邊弘先生のnote(5部)
  • ビジネスサイドへの転身に興味があれば、草原さん(ReadyFor)、酒井さん(Holmes)のnote(6部)

などが紹介されている。

そんな具合に見ていったら、最後に「理系×社会人」の弁護士転身というコラムで過分な紹介とともに私が登場していて仰け反った。

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業界の重鎮(特に上3名)が並ぶ中、文字通り末席に加えられた形になって嬉しいような恥ずかしいような(ちなみに私の経験年数は2社合わせて8年が正しい)。さらに尊敬する松永さんによると理系ではないとのことでw。いずれにせよ、弁護士が取り扱う業務の中にはテクノロジーとの関係が深い分野が増える傾向にあり、多様なバックグラウンドを有する人に業界に参入してもらいたいものの、最近では逆に多様性が失われているのではないか、という点は著者の感覚と同様である。