先日参加した勉強会兼懇親会で話題になったTwitterの利用規約を改めて読んでみた。
これは,Twitterのホームの右側下の「利用規約」というところから見られる。なぜか日本語と英語が混じっている。
ただ,上の方に,
ご参考までに日本語の翻訳を用意しました。ただし、法的な拘束力があるのは英語版であることをご了承ください。
とあるように,日本語版利用規約は,便宜的に参照用として提供されているにすぎない。
肝心のツイートに関する権利(著作物性を有するかどうかは微妙であるが)の取扱いについては,
ユーザーは、ユーザーが本サービス上に又は本サービスを通じて提出し、送りあるいは表示する一切のコンテンツに対する権利を保有しています。ユーザーは、本サービス上に又は本サービスを通じてコンテンツを提出し、送り、又は表示することにより、一切の媒体又は配付方法(現在知られているものであると今後開発されるものであるとを問わず)においてかかるコンテンツを使用し、コピーし、複製し、加工し、改作し、変更し、発表し、送信し、表示し、配付するための世界的な通常実施権を(再実施権を付けて)弊社に対して無償で許諾します。
とあるので,ツイートすることで,ツイートに関する著作権がTwitter社に移転してしまうことはない。しかし,ユーザはTwitter社に対して,そのツイートを複製,送信などするライセンスをしていることになる。さらに,カッコ書きで「再実施権を付けて」とあるので,Twitter社は第三者に対してもサブライセンスしてよいことになっている。
これを字義どおりに解釈すると,Twitter社はユーザのツイートを集めて書籍にしたりすることができることになる。ただ,ここで念頭に置かれているのは,RTのことだろう。つまり,原則論では,ユーザAのツイートをRTしたいと思ったユーザBは,ユーザAからその許諾を得なければならないところ,この規定の存在により,ユーザAのツイートは,Twitter社を経由して,ユーザBは自由にRTすることができる(ユーザBはTwitter社から,ユーザAのツイートの複製権,公衆送信権をサブライセンスされる。)。
このほかにも,ヘルプの中に,
というページがあり,「スパム」に関する記載として,
以下に明記する行為に携わっているアカウントは全て、永久凍結の対象となります。
<略>
スパム: 他のユーザーに大量のメールを無差別に送信する、いわゆるスパム行為を禁じます。「スパム行為」とされるものは多様化しており、われわれは「スパマー」に対して新しい策略と方策により対処します。スパム行為とみなす決定をする際に考慮する事項を以下に掲げます:
とある。具体的に「スパム行為とみなす決定をする際に考慮する事項」(the factors that we take into account when determining what conduct is considered to be spamming)とは,例えば次のようなものが挙げられている。
・短時間に多数のユーザーをフォローした場合
・短期間に、特に自動化された手段で、フォローおよびフォローの解除をした場合(過剰にフォロワーを増減する行為)
・フォロワーを増やしたり、自分のプロフィールを注目させるなどの目的でフォローおよびフォローの解除を繰り返した場合
・フォローしている人数に比べ、フォローされている人数がごく少ない場合
・多数の人にブロックされている場合
・多数のユーザー向けに、同じ内容の@付投稿をした場合
・出所を明示せずに他のユーザーのコンテンツを再投稿した場合
結構,どれかは当てはまる,というケースは多いのではないか(特にビジネスのアカウント)。あくまでどれかに当てはまれば即,スパムというわけではなく,「考慮する事項」なので,スパムかどうかの判断はTwitterの裁量ということになるが。
そもそも,この記載は,「ヘルプ」の中の一項目であり,利用者に対する拘束力を有するかどうかも疑問だ(ユーザ登録の際に,これらについても同意するプロセスを取っていたかどうかは不明)。ただ,7月8日現在では,利用規約の中で,先ほどのページへのリンクがあり,わざわざ「(この利用規約の一部でもある)」という注釈までついていることからすると,利用規約の本体が拘束力を持つ条件を有すれば(この点については深く立ち入らない),「ヘルプ」についても拘束力が出てくるといえそうだ。
Twitterの利用規約といえば,福井健策先生の記事をご参考までに(当時の利用規約からは改正されているので,あくまで「参考」)。