弁護士をしていながらも,ふだんは裁判所に行かない。先日,ようやく「法廷デビュー」を果たした。
新人のうちに義務的にアサインされる刑事の国選事件である。名もない小さな事件だが,当然のことながら,当人にとっては人生の一大事であり,まったく気を抜くことを許さない。
法廷についてみて驚いたが,間もなく始まる裁判員裁判用に改装された法廷だった。部屋は広く,裁判官席が9つあり,モニターが各所についている。検察官との距離も遠い。傍聴席もたくさんある。
ただ,本件はいわゆる単独事件で,裁判官は一人だけだ。開廷の5分くらい前になったら,傍聴席に大量の人が入ってきた。30人以上はいただろうか。おそらく裁判所職員の研修か何かだと思う。さらには,ロースクール生と思しき人も数名,その他・・で,傍聴席にはかなりの人。確かに,法廷の外の張り紙には,「窃盗」とか「大麻取締法違反」などのシンプルな事件名ではなく,長々といくつか書いてあったので,一見するとすごい事件*1のように見えたのかもしれない。さらに弁護人席の背後には,刑裁修習中の修習生も座っていたりして,まさに360度包囲されているので,俄然緊張してきた。
公判じたいは,つつがなく,特に問題もなく終えた。約1年前の刑裁修習のころと比べて,検察官の冒頭陳述や論告がやたらと長くなったような気がする。証拠調べでも,書証を一つ一つ丁寧に読み上げたりするようになったと思う(情状証人一人+被告人質問という標準的な構成だったにもかかわらず,1時間以上かかった)。これも裁判員裁判が近付いてきたことの影響か。
*1:修習生的には,「法令の適用」欄を書くのに注意を要するパターンであろう