Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

3か月間を振り返って

弁護士登録は昨年12月だが,実働は本年に入ってからなので,ちょうど3か月ほど経過したことになる。


よいか悪いかは別にして,通常の新人らしからぬ3か月であった。新人らしくないだけにとどまらず,弁護士らしくない(別に悪いことをしているわけではない)仕事も多く,前職,前々職時代の仕事と連続性がある部分もあり,それなりに充実していたといえると思う。ただ,裁判所にはいまだに一度も出かけたことはない(ここがもっとも弁護士らしくない点だろう)。3ヶ月で出会った人は数百人になり,名刺も4箱目が底をつきそうな状況である。


ただ,一番印象に残る案件は,自分の中ではもっとも弁護士らしい案件で,当番弁護から引き続いて受任した被疑者弁護事件である。新人の場合,何の争点もなさそうな事件が配点されると思っていたが,初回の接見で,いきなり「これは刑事弁護の修習で見たDVDと同じような状況だ」と感じるほど動き方,接し方を考えさせられる事件だった。その事件は,つい先日,起訴猶予という形で終了し,刑事処分としてはほぼ最高に近い結果が出たと思えるのだが,依頼者の職場関係,家族関係を含めたトータルの結果で見ると,当然のことながら深い傷を残すことになり,今振り返ってみても「もう少し打つ手はなかったのか」と感じる場面はある。


今のところは,事務所案件(ボスが受任している事件)が中心だが,ぼちぼち個人案件も増えつつある。思っていた以上に,昔からの知人や,その紹介によって,引き合いが多いので,やりがいがあるが,思っていた以上に,実際に報酬をいただける確率は低いことがわかった。つまり,面談してお話しするだけで,おおむね解決するか,弁護士の力を借りる必要がなかったりするケースが意外に多い(そういう場合でも,知人もしくは知人の紹介の場合は相談料を頂いていない)。また,相談者の経済状況からして,支援するとしても無償で対応したほうがよいというケースもあったりする。