Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

本当にあったミス(3)

前回に引き続き,「気をつけよう」シリーズ。

MS-Wordの変更履歴に注意


弁護士の仕事,特に契約書のレビューを依頼された場合において,MS-Wordの変更履歴機能を利用して,クライアントとやり取りをするというケースが多いかと思う。これを繰り返していくと,画面上でファイルを開くとだんだん汚くなっていくのだが,ひととおり修正が終わって,最終版のみを印刷すれば見栄えが良くなる。


しかし,これも注意しないと危険が潜んでいる。MS-Wordで印刷時に変更履歴を表示しないようにしたとしても,まだ履歴としては保持されている。完全に履歴を取り去るには,変更を反映させる手続が必要になる。


これを忘れてうっかり相手方当事者に生のファイル(PDFなどに変換せずに)送ってしまうと,受領者が変更履歴を表示させた場合に,弁護士と,依頼者との間でどのようなやり取りが行われたのか,という歴史が暴かれることになる。


もちろん,相手方との間で編集可能な媒体でやりとりすることの賛否もあるだろうが,このような不用意なことは避けなければならない。私の場合,このような危険もあるため,やり取りをする相手方のPCリテラシが高くなかったり,よくわからなかったりするときには,変更履歴機能はあまり使わないようにしている(たとえば,赤い文字で本文中に直接コメント文を挿入したりするなど)。