Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

忍耐が試される

司法試験では,当然のことながら,法的知識,思考力,表現力,事案の読解力などが問われている。


しかし,最近,これに加えて,「がまん力」というか,「ストイックさ」も試されているのではないか,と思う。


旧試験とは受験環境が大きく変わったものの*1,新司法試験でも,当然ながら楽して合格できるわけではない。誘惑の多い年頃,時代に,勉強一筋でがんばった者だけに,合格者の資格を与えられる(ただし,ストイックになることは十分条件ではない)。


確かに,10年ぐらい前の自分を思い返してみると,大学院生生活を楽しみ,そして,浮かれた新社会人生活を楽しんでいた。それと比較すると(比較するのも失礼だが),ロースクールの若者のほとんどは,寝食を忘れ,生活時間のほとんどを勉強に費やしており,大変「禁欲的」である。世間一般には,ロースクール生は勉強してない,という批判もあるようだが,他校のことはわからない。まあ,大学の立地からして,誘惑の要素がなく,勉強に打ち込みやすい,というのも影響しているかもしれない。


私も,仕事に向けていた時間的・精神的リソースを,勉強に振り向けたことを思えば,このような生活は苦にならないのだが,決定的に違うことがある。仕事の場合は,個人プレーではないので,外的要因(会社,顧客,上司,部下,協力会社etc)によって,いやでも時間的・精神的リソースを注がなければならないのだが,勉強の場合は,堕落しようと思えばいくらでも堕落できる。すべて自己責任なので,自らそういう精神状態に追い込まなければならないことになる。


そこで,「がまん力」の強い者が勝つことになる。法律実務家としても,「がまん力」が要求されるだろうから,司法試験の受験を通じて「がまん力」を養っていく,というのも必要なことなのだろう。

*1:といっても,私は旧試験の経験がないので想像だが