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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

第23回社団戦第1日

7月1日,将棋社団戦に参加した。


社団戦とは,社会人団体リーグ戦の略で,職場,友人など,好きなメンバーで1チーム7人で闘う将棋の団体戦である。「社会人」という名がついていても,年齢制限はなく,子どもでも出場できる。7人1チームで1部から5部まで,合計150チームくらいあり,1000人以上の将棋指しが一堂に会して将棋を指す姿は,・・・である。


http://homepage2.nifty.com/toushouren/

上記リンク先のトップの写真をご覧いただくとわかるように,隣は肩が触れ合うほど,後ろは背中がくっつくほど密集して指す。しかも,将棋を指す人は,どちらかというと冴えないオッサンが多いので,空気も淀みがち。同じチームで写真のとおり,サッカーで使うビブスのようなものを着用する。


昨年は,たまたま大学時代の先輩から声をかけていただいた縁で,息子が3部リーグのチームに入れていただいた。1リーグに16チーム所属し,1日4局,1年に4日かけて15局指すことになる。7人中4人以上勝てばチームの勝利となるし,同じチーム勝敗数だったら,個人の勝数が順位に影響し,それが翌年のリーグ昇降級に影響する。

(昨年の様子の一部)
http://d.hatena.ne.jp/redips/20110627/1309181793


残念ながら息子がいたチームはリーグ再編成の影響もあり4部に降格した。


散々前置きが長くなったが,今年は,私もプレイヤーとして参加することになった。


将棋KIDSのパパを中心に,昨年「将棋連盟鰻支部」という,ただ酒を飲むだけの集まりが出来上がったが,そこで支部長H本さんを監督に擁き,新たなチームを組んでエントリーすることになった。ただ,強い人はすでにほかのチームに所属していたりして,集まったメンバーは,「子どもの大会には嫌というほど引率したことがあるが,自分が大会に出るのは初めて」というオッサン級位者が中心。監督は強豪なのだが,自分は敢えて指さず,スーパーサブとして仁王立ちを決め込んでいる。


通常,新規エントリーの場合は3部か4部からの参加となるが,級位者メンバー中心ということが配慮されたのか5部からの参戦となった。


大会のレベル感はアマ三段の息子が3部で昨年ほぼ指し分け。「初段あれば5部でも楽しめるよ」という話も聞いたが,4級以上の認定をもらっていない私は,事前に息子から「15連敗確定」と太鼓判を押されていた。


それでも少ない空き時間を利用して,24で対局してみたり(レーティングは300台だが・・),詰将棋を解いたりして,来たるべき本番に備えていた。


結局,レギュラーメンバーは監督除いて6人しか決まらなかったので,将棋KIDSパパの特権を利用して,助っ人の少年を3人調達した。彼らはもちろん有段者で,有力なポイントゲッターとなる。都合9人いるので,1日3局指せばよい(1局は休める)と知り,安心。


当日朝。息子とは違うチームだが,一緒に会場の浜松町へ向かう。チームの面々と会ってみてオッサン2名が欠席したことが判明し,結局レギュラー4人と助っ人少年3人がフル出場しなければならなくなった。直前の練習対局の調子がよかったため,三将の大役を任された(並び順で3番目)。


持ち時間は各30分。切れたら1手30秒。長く指せば1局1時間以上かかる。1番最初に負けてしまうのは情けないので,できるだけ時間を使って丁寧に指そうと心掛ける。


1局目。後手番。8四歩を指したことから相矢倉になるが,どうも途中からよくわからなくなる。ただし,相手のミスがあったのか,中盤で銀を殺せたので優勢を意識。しかし,そこから暴れられて,丁寧に受け過ぎたのか,時間は使い切って秒読みで間違いも犯してしまって負け。チームは少年が2勝挙げたものの,3−4で負け。


2局目。また後手番。2手目3四歩にしたところ,あれよあれよと横歩取りに。これまた,中原囲い4一玉型を作った後はよくわからなくなる。とはいえ,二枚飛車での攻めが決まるかも,と思って勝手にまた優勢を意識。しかし,中原囲いの右辺から逃げられると思って安穏としていたら,右辺から縛られてそのまま負け。チームも少年の2勝のみで,2−5で負け。


1局1時間もかかると本当にヘトヘトになり,これは15連敗も現実味があるな・・と思い始めるようになる。


3局目。またまた後手番。今度も相矢倉模様かと思ったら,相手は右玉。初めて指す形なので,よくわからなかったが,手薄になった相手の角頭を棒銀で攻めて突破できたので,またまた優勢を意識。このあたりの大局観の誤りが致命的で,結局これも負け。ただし,チームは3−3で迎えた残りの対局で,ぶんぱぱさん*1が粘勝し,チーム初勝利をもたらした。チームの勝利を心から喜ぶことができた瞬間というのは,高校時代くらいまで遡らないと記憶がないくらい。


4局目。またまたまた後手番(4局とも後手番だった)。2手目3四歩のあと,横歩取りに自信がなかったので,4四歩から矢倉に誘導。しかし,今回は相手が強すぎて,ほとんど何もさせてもらうことなく,相手方が20分以上時間を残し,完敗。ただし,チームは5−2で勝ち,望外の2勝目(少年3人が9−3で,オッサン4人が5−11だったことを強調しておく)。


予定どおり4連敗したのは私だけで,肩身の狭い思いをしたのだが,感想戦で「あの,棋力はどれくらいなんですか?」と聞いてみたところ三段,三段,五段だった(1局目は聞かず)。そりゃ,勝てるわけないよと思いつつ,途中までは善戦できたことにむしろ達成感,安堵感もあった。それにしても5部でもそんな有段者ばかりというのは運が悪かったのか,それとも,5部とはいえ,もともとそういうレベルだったのか。


チームが2勝したこと,苦しいながらも4局全員が戦い抜いたこともあって,打ち上げでも心地よくビールを飲めたのだが,やはり,次回こそは初日を出さなくては・・と思った。ちなみに,息子は4部では全勝すると意気込んでいたが3−1に終わった(チームも3勝1敗)。


細かい棋譜は忘れてしまったが,1局目から3局目はいずれも途中で優勢を意識したので,その局面を息子に見せて「お父さん,強い人相手に結構善戦しただろ,強くなっただろう?」と自慢したところ,いずれも「別に優勢でも何でもない。もう悪くなってる」とピシャリ。うーん,いい勝負をしていたと思っていたら,そうでもなかったのか,と落胆。優劣を判断できないところも弱さの大きな原因の一つだろう。


2日目はもう4週間後。楽しみと憂鬱さが交錯している。


将棋というフィールドでは息子に何もカッコイイところを見せることはできず,むしろダメ親父にしか見えないのだが,こうして全く同じ条件で戦うことができるのは,本当に幸せなことだと思う。なので,たとえ全敗し続けようとも,今年はとりあえず喰らいついていくつもり。