Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

第23回社団戦2日目-part2

前回からの続き。第4局の自戦記がつづく。


(前回までのあらすじ)社団戦鰻チームで初出場した私は,初日から通算6連敗で初日が出ず。2日目の最終局は,相手のひねり飛車にどうやって対応したらよいかわからず,61手目に飛車を回られた(第3図)。


ここで,先手陣を深くにらんでいる角道を止める△8六歩。▲同歩ならば端歩を付いて角をいじめるか,同銀から突っ込んでいけば優勢になるとにらんだ。放置すればもちろん,△8七歩成で駒得が狙える。なので,相手は攻め合いを目指す▲5四銀。ここで△同金と取ってしまえば,飛車をさばかれる。なので,反射的に△5五歩と叩く(第4図)。


もちろん狙いは,▲同飛,△6四金の両取り。▲5四飛と引けば,△8七歩成が狙える。結局,さらに先手は攻め合いを目指し,△5五歩,▲6三銀成,△5四歩,▲同歩,△8七歩成。ここへきてようやく優勢を意識した。


ただ,時間はどちらも残り数分。ここからもたもたしていると,実力差から逆転されてもおかしくない。


ふと顔を上げると,監督,抜け番のチームメンバーらの顔が見える。対局を見つめる目つきからすると,第三者的に見ても優勢のようだ。


先手はそれでも何とか絡みついてくる。丁寧に受けているうちに,いつのまにか逆転されるというのはいつものパターン。しばらく進んでようやく詰めろをかけた(第5図)。


このあたりでまた顔を上げると,目の前に長男がいる。自分の対局を終えて見に来たのだろう。開幕前は「15戦全敗」を予言していた長男だが,「とりあえず1勝」という私の目標は知っている一方で,私の弱さも知り尽くしている。


秒読み直前になっている私が目を合わそうとすると,照れくさそうに目をそらして後ずさりしていったが,明らかにニヤニヤとうれしそうな顔を噛み殺していた。この長男の顔を見て勝利を確信。


あとは,▲7九歩で龍の筋を止められたものの,△2七銀で再び詰めろをかけて,あとは,▲5八角,△2八金,▲4八玉,△3八銀成,▲同金,△同金,▲同玉,△5八飛成,▲2七玉,△3五桂で投了。


途中の2八金あたりからはどうやっても詰むとわかって,手が震えた。相手が投了した時は,人生最大級のドヤ顔をしてしまったに違いない。


これまでの大会出場経験は,昨年12月のマグロC級に続いて社団戦のみだが,人生初の大会勝利。打ち上げでもこの勝局を肴に盛り上がった。やっぱり団体戦での勝利は格別。


次回以降の社団戦は,息子の研修会の日程と重なってしまうため,親子そろって参戦することはできない。次年度以降もどうなるかわからないことを考えると,一緒に大会に参加することはこの日が最後だったのかもしれない。そんな中で,最終局でオヤジの勝局を見せられたのは幸せだった。