われわれの仕事に限らないが,仕事には「やってみるとたいしたことはないが,やるまでが億劫」というものが多い。
あんまり連絡をしたくない人へのアポイントの連絡などもこれに含まれるし,現実的に影響が大きいのは「依頼は受けたものの,そもそもどうやって進めてよいやらもよくわからない案件」などが典型例だ。
一般に,動いている物体を動かすときに働く動摩擦力が,止まっている物体を動かすのに必要な静止摩擦力よりも小さくなるように,こういうタスクは,「静摩擦係数」を超えるところまで力をかけるのが大変である。
納期がタイトであれば,グダグダ言わずにやるしかないのだが,依頼者から納期もはっきり言われていないような相談だったりすると,どんどん新しく優先度の高いタスクが優先的に「動き」始めるので,気づいたらそんなタスクには根っ子も生えはじめたりして,さらに「静摩擦係数」は大きくなるばかりだ。
今も,かなり強い力をかけないと動きそうもない物体が私の視界にいくつかある。こういうのは「はじめの一歩」さえ動けばなんとかなるのだが。