Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

iPAD商標問題

商標の話題が続くが,先日発表されたiPADの商標問題がニュースとなっている。


http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20100129-OYT8T00739.htm

米アップルが27日発表した新型情報端末「iPad(アイパッド)」と同じ商品名を、富士通が2003年に米国で商標登録申請していたことが分かった。

まだ、登録は認められておらず、今後、両社で名前の使用についての協議が行われるとみられる。


これは米国での話だが,日本の特許庁データベースで見ると,「Slate Computing LLC」という米国企業が,「iPad」という商標(標準文字)を出願している(商願2009-58254。まだ登録されていない。)。この指定商品・役務は,9類「コンピュータ,コンピュータソフトウェア」などを含んでおり,このまま登録された場合には,(アップルの)iPADを国内で販売させると,上記商標の使用は避けられないだろう。


すでに名称も決めて,発表もしてしまったが,同一(類似)の商標が存在する,という相談を受けることがあるが,そんなときに考えられる手段としては,

  • 当該商標の使用許諾交渉または,譲渡交渉を行う
  • 当該商標が実際には使われていない場合には,不使用取消審判を申し立てる


がある。これは択一的というわけではなく,交渉しつつ,それがうまくいかない場合に攻撃手段として後者を利用するということがある。


前者については,相手方によっては,足元を見て法外な値段を吹っかけてくることもあるので,交渉に悩まされることもある。


そう考えると,事前に商標の出願・登録状況を調べてから名前を決めるべきだと思うが,これを律義にやろうとすると,グローバル企業の場合には,調査があまりにも広範囲になるし,わかりやすい名前はだいたいすでに登録されていたりするので,これも難しい。