刑事裁判修習中には,証人尋問調書を読むことが多い。
これは,刑事裁判の証人尋問等における問答の結果を忠実に文字に落としたものである*1。
話し言葉の特性として,その場に立ち会って聞いていれば内容がわかるものであっても,それを文字に落として,読んだだけではよくわからなくなったりすることがある。主語述語の対応関係が崩れてしまったりすることもままある。実際に証人尋問に立ち会った者が,その調書を確認のために読む場合と異なり,そうでない者が調書のみを読んだ場合には,かなりの情報が失われていると思う。
話は変わって。
先月,とある法律系雑誌の座談会企画に呼んでいただいた*2。先日,その反訳データが送られてきて,確認と修正を依頼された。
内容を読んでみると,確かに私の発言が忠実に文字に起こされているが,別に原稿を用意していたわけではないので,かなりわかりにくいことをしゃべっている。自分では気づかなかった口癖というか,同じような言い回しを何度も使っている。というわけで,発言の趣旨を変えない程度に,細かいところに手を加えざるをえなかった。
文字に落とした上でもなおわかりやすく話をするというのは,なかなか難しい。