Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

就職活動(7)

社会人経験者としては,採用にあたり,自己の経験がどのように考慮されるのか,というのは気になるところである。


この点については,以前,


http://d.hatena.ne.jp/redips/20071006/1191600470
http://d.hatena.ne.jp/redips/20071007/1191738806
http://d.hatena.ne.jp/redips/20071008/1191769920


で触れたことと近い部分があるが,結論からいえば,社会人経験者としては,周到な準備・リサーチをしておかない限り,自らの経験・スキルが尊重されて事務所に迎え入れられることを期待してはいけないと思う。


最近,


弁護士の就職と転職―弁護士ヘッドハンターが語る25の経験則

弁護士の就職と転職―弁護士ヘッドハンターが語る25の経験則


という本を読んだが,この中で,(少し長い引用だが)次のように書かれている(93〜94頁)。

・・企画部門を担当したという経験はどう評価されるだろうか。産業界と折衝した経験はどうだろうか。銀行界から譲歩を引き出した経験はどうだろうか。それは,貴重な経験である。他の弁護士にはない経験を積んだのだろう。でも,それが「弁護士の業務」として何に役立つのかは未知数である。

(中略)

このとき,パートナーの目には,「自分が知らない経験」であるが故にその経験は「弁護士業務にとって不要な経験」と推定されて映る。「他人がやっていない経験を積む」ということは,それだけでは「商売としての弁護士」には役立たない。

「ユニークな経験を積んだこと」を「弁護士としてのキャリア」に活かすためには,さらにもう一歩「これは,こういう依頼者のこういう事件に役立つ」というところまで結び付けて論証する努力が求められる。


この話は,別にロースクール卒業生の就職活動について述べたものではなく,新法立案担当の経験をした弁護士が,その後のキャリア・転職において,どう評価されるのか,という点について,述べられたものである。しかし,まったく同様の話が「社会人経験者で弁護士を目指す者」にも当てはまると思う。


確かに(法曹界にとって)珍しい経験をしていたとしても,多くの弁護士にとっては「面白いですね」で終わってしまう。それを活かして仕事をしていきたいと考えるのであれば,上記のような「論証する努力」が必要であり,そうするために十分なリサーチが必要になる。