法科大学院生，司法試験受験生にとって，判例の理解と記憶が重要なのは当然であるが，記憶力が低下傾向にある私ぐらいの歳になると，「読んだはずなのに，肝腎な部分を忘れる」ということがしょっちゅう発生する。
今から1年ほど前に，「何度見ても忘れる」ということへの対策のため，オリジナルの判例データベースを作ることにした。授業の予習や，自分の勉強の途中に出くわした判例のうち，必要だと思ったものをひたすらストックするのである。これは，単に判例を読むだけでなく，自分なりのメモを残すことで記憶を定着しやすくすることと，分野別に整理しておくことで，試験前などに短時間で見返すときに抜けを少なくするということを狙ったものである。
データベースといっても，たいしたものではなく，判決日，出典（自分の教科書や百選等の何頁に載っているか），判決要旨，事案，ポイント，などを項目ごとにまとめて電子化してあるだけである。判例のソースは，なにも全文を読んだものに限らない。評釈のみのものもあれば，場合によっては，教科書に１，２行程度で紹介されただけのものも含む。そして，一度みたものでも，再び別の箇所で参照する機会があれば，当時の理解と微妙に異なったりするので，加筆修正を繰り返す。しかし，新しい判例に出会ったと思って，追記しようと思ったら，わずか数週間前に読んだことがある判例で，すでにストックしてあった，なんてこともたびたびある。
そうこうしているうちに，この１年で８科目分，計1600以上の判例データが集まった（たぶん，忘れていい判例もたくさんあると思うけれど）。今後も，今まで程のペースではないだろうが，少しずつ拡充させていく予定である。思ったより「作っただけで満足」という類のものではなく，試験勉強や，授業中などで役立つことが多い。それでも，これだけ数があると，正確な理解というのは，なかなか難しいものであるが。
