Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

情報ネットワーク法学会第14回研究大会

情報ネットワーク法学会は,毎年何かしらの用事と重なっていていつも参加できなかったため,今回が初出席ということになった。


私が出席したのは,以下の報告・セッション。報告者は敬称略。

午前の個別報告

吉峯耕平「民事四方の電子化に向けた現実的方策の検討」(個別発表B)

以前,日弁連コンピュータ委員会でも検討されていた話題。裁判手続は本当にIT化が遅れているが,吉峯先生の提案は,まずは準備書面の直送,確定記録の保管など,やれるところから,効果が高いところからやろうというもの。

城所岩生「新技術・新サービスに対する最高裁判決の日米比較」(個別発表A)

いわゆる,まねき・ロクラク最高裁事件と,米国のケーブルテレビ事件,AEREO事件の紹介。

杉本等ら「OSIの定義に基づくOSSライセンスの特徴分類と現場での課題との関連に関する検討」(個別発表B)

数あるライセンスの中でも,比較的話題になる,問題になるライセンスとその内容はこれだ,という紹介。

高木浩光,鈴木正朝「個人情報保護法における「処理情報」概念を再考する」

処理情報とは,散在情報(体系的に構成されていない情報)ではない個人情報。現行法の保護範囲と,あるべき保護範囲に関する報告。私は,個人情報保護法の趣旨からして,散在情報を保護する必要があるのかということはあまり考えていなかった。

基調講演

宇賀克也「個人情報保護法改正の動向」

いわゆる改正大綱の紹介が中心。

分科会

村上康二郎,崎村夏彦,佐藤慶浩,森亮二「プライバシーに関する国際標準化の動向と課題」

正直,ほとんど手が回っていない分野なので勉強になった。国際標準化プロセスの紹介のほか,特に,近時公表されたパーソナルデータの取得にかかる通知と同意の経産省ガイドラインの位置づけが分かった。

板倉陽一郎,鈴木正朝,石井夏生利,神田知宏,高木浩光,阿久津匡美「プライバシー・パーソナルデータアップデート」

最後に「全部乗せ」みたいなテーマと登壇者。ベネッセ事件,行政機関等個人情報保護法に関する検討状況,NICT報告書,Google検索結果差止仮処分に加えて,営業秘密にかかる不競法改正まで多彩なテーマ。


実況は,
http://togetter.com/li/754905

にまとめられているが,全体のツイート量は少なめ(私のツイートもいくつかある)。


もう少し詳しい中身の報告や感想はまた機会があれば。