4月25日に,個人情報保護委員会から,「「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」の公表及び同整理に対する意見募集」が公表された。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/news_release_chukanseiri.pdf
これは,個人情報保護法の平成27年改正法(完全施行は平成29年5月)の改正法附則12条3項で,改正法の施行後3年ごとに施行の状況を検討を加え,必要があるときは,所要の措置を講ずる,との定め(いわゆる「3年ごと見直し」)に基づくものである。この中間整理は,5月27日までパブコメにかけられている。
次なる改正のトピックの頭出しをした中間整理の段階なので,具体的な改正内容が書かれているわけでもないが,次の改正では(何か重大な事件,事故でも起きない限り)このテーマの中から選定・具体化がなされていくことになるため,注目しておきたい。
日経新聞では,3本柱として「利用停止権」「仮名情報」「情報開示のデジタル化」が取り上げられている。
この中間整理で取り上げられている個別テーマは,
(1)個人の権利の在り方
(2)漏えい報告のあり方
(3)個人情報保護のための事業者における自主的な取組を促す仕組みの在り方
(4)データ利活用に関する施策の在り方
(5)ペナルティの在り方
(6)法の域外適用の在り方及び国際的制度調和への取組と越境移転の在り方
であるが,多くの事業者への影響が大きいと思われるのは(1)開示請求のデジタル化と,利用停止権が論点として挙がる一方,GDPRで導入されているデータポータビリティには慎重な印象である。(2)については一定の場合に報告を義務付けすることが挙げられている。(4)の中で「仮名化」について検討されているが,何か具体的な案が出されているわけでもなく,正直なところ具体的な立法のイメージがない。(5)では課徴金制度が言及されているが,この中間整理を見る限りは導入ありき,という様子ではない。
というわけで,現在の中間整理の内容は,平成27年改正のもととなった「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」(2014年)よりもさらに柔らかい段階の検討資料だという印象である。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/info/h260625_siryou2.pdf