Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

女性の労働率

7月27日,日経の夕刊(ニッキィのコーナー)に「働く女性 増やすカギは?」という見出しで次のような記事があった。

年齢別にみた労働力率(略)が30代でいったん下がり,40代で再び上昇する(略)。結婚や出産で仕事をやめ,子どもが大きくなるにつれ,仕事を再開することが大きな理由だと思います。横軸に年齢をとると,アルファベットのMの形をしたカーブを描けます。働く女性が増えればM字のくぼみは小さくなります。


30代での労働力の落ち込みをできるだけ減らすために育児支援などしなければ,という趣旨の記事だった。先日,労働法の授業で聞いた話では,

M字カーブと言われますが,詳しく分析すると違ってた事実が浮かび上がります。学歴別で見てみると,大卒大学院卒の女性の場合には,確かに20代の労働力率は高いですが,30代で落ち込んでしまうと,そのまま浮上しません。大卒女性の場合は一般的に見て,経済力のある男性と結婚する傾向があるから,わざわざ働きに戻らない,ということなのかもしれません。

と。ちなみに高卒女性の場合にはきれいなM字型になっている。


こうした議論を眺めていると,少子化対策にしても,女性の労働率向上策にしても,まだまだ総論的な議論の域を出ていないと感じられる。例えば,とにかく保育施設を増やせ,子どもの医療費をタダにせよ,といった感じに。


しかし,大卒女性と高卒女性で比較して労働率の推移が異なるように,子どもを産みたくない/産めない理由,仕事を辞めなければならない/復帰できない理由というのは,そんなに画一的ではない。私はマーケティングは素人だが,マーケティングの分野では,「大衆」として消費者をとらえることの誤りに早々と気づいて,顧客をセグメント化して,それに応じた施策を打つ。さらにはITを駆使してワン・トゥ・ワンでの対応を目指している。その結果,商品,サービスの多様化がここ10年ぐらいでえらく進んだように思う。


だから,顧客(この場合では,働きたくても働けない人,産みたくても産まない人・・など)をセグメント化してきめ細かな対策を打たないと効果がないのではないか。セグメントをきる軸としては,家庭の年収,地域,最初についた職種,年齢などいろいろあると思う。施策をうつ相手は女性だけでなく,男性かもしれない。お金を欲しい人もいれば,時間が優先という人もいる。どの政策が有効か,というのは一概に評価できないはず。


長くなったので,このへんで。