Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

話し言葉の中での難しい単語

このブログでは変換(7/15)や,専門用語(5/30)や,漢字(5/15)の話など,言葉の使い方に関係することをいくつも書いてきた。今日もそのテの話題(だいぶ話がかぶるけど)。


専門用語で難しい言葉が使われるのは仕方ないとしても,日常用語で言い表せるような言葉までが,難しい言い回しで登場したりする。そういう場合でも,活字になっていれば調べてみたり,漢字からただよう雰囲気で意味が予測できたりするから,仕方ない。でも,講義中に話し言葉で出てくると,一瞬「?」となるのでやや困ったものだ。


例えば,

  • 「委員会等設置会社の場合の規定とヒョウソクをとる形で・・」(平仄)
  • 「XとYとの争いにセイチュウする・・」(掣肘)
  • 「わざわざもう一度訴えるというようなウエンな方法を・・」(迂遠)
  • 「債務名義は判決手続と執行手続をカキョウする・・」(架橋)

など。慣れればなんてことはない話だけど,怖いのは,こういうボキャブラリーに慣れて,一般社会で自分が使ってしまわないかどうか,ということ。


上記の例であれば,

  • 「委員会等設置会社の場合の規定とつじつまを合わせる形で・・」
  • 「XとYとの争いに横から入り込んでくる・・」
  • 「わざわざもう一度訴えるというまどろっこしいやり方を・・」
  • 「債務名義は判決手続と執行手続の橋渡しをする・・」

といえば十分ではないか。


ところが,ここまで書いていて,仕事をしていた時代を振り返ってみると,まったく人のことを言えない。

「本日のアジェンダは,先日リマインドしたように,ソリューショングループにデプロイしたスタッフとのコミュニケーションパスの確保と,パフォーマンスアプライザルの実施方法についてです。では,まずハンドアウトの1ページを・・」

などと話してたりする。これじゃあ,嫌がらせである。日本語を使っている法律家のほうがよい。