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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

ステマ問題を受けた消費者庁ガイドラインの改定

消費者庁,景表法といえば,今はコンプガチャの話題で持ちきりだったところ,こんどは「ステマ」も取り上げられることになった。


以前,誠ブログ
http://blogs.bizmakoto.jp/mito/entry/4129.html

で,ステマが景表法違反(優良誤認等)となる可能性は指摘したものの,これはあくまで表示の内容の問題であって,広告であることを偽る行為そのものについては特に規制の対象となっていない,と考えられていた。本日の消費者庁のリリースでは,その点について,一歩(半歩)だけ踏み込んでいる。


「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の一部改定について」
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120509premiums_1.pdf


改定の理由は,明確に,

商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼して、口コミサイトの口コミ情報コーナーに、口コミを多数書き込ませるという行為があったことが問題とされています。
こうした行為に関する景品表示法上の考え方を明らかにするために、当庁が平成 23 年 10 月 28 日に公表した「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を一部改定することとしました。

と,食べログ問題がきっかけとなったとされている。


これまでのガイドラインでは,問題となる事例としては,(1)実際に地鶏を使っていないにもかかわらず,地鶏を使っているかのようにと書き込むケース,(2)十分な根拠もなく,有名ブロガーを使って『しみ,そばかすを予防します』などと書かせるケースに限られていたが,3点目として,

商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。

が追加された。


これは,優良誤認の具体例として,「もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず」という場合に評価を変動させる場合を挙げたものであって,事業者に依頼する行為や,サービスを受けてもいないのに書き込みをさせる行為そのもの自体を景表法上の問題として取り上げているわけではない。


ただ,あくまでも,

なお、具体的な表示が景品表示法に違反するか否かは、個々の事案ごとに判断されますので、ご留意ください。

と,しているので,具体例に当てはまるとしても即違法とはいえないし,逆に具体例に含まれないものでも違法なものもありうる点には注意したい。