しばらく前から,「ヤフオク」ならぬ「ヤスオク」などのサービスが注目を浴びていた。
この種のサービスは「ペニーオークション」と呼ばれている。
インターネットオークションの新しい形態だともいえるが,詳しいビジネスモデルの説明は割愛するとして,特徴的なのは,利用者が激安で人気商品を購入できる可能性があるというところ。当然,誰もがそんな甘い汁を吸えるわけでもなく,かなり偶然性もあり,購入権を得られない人は,損をする仕組になっている。
たくさんの参加者がちょっとずつ損をして,ほんの一部の参加者が大きく得をする。そして,
一部の参加者の得 < Σ(他の参加者の損)
という関係があれば,その差額は,事業者の利益となる。こうモデル化してしまうと,宝くじ,ギャンブルと似ている。
一部の事業者が,これでかなり儲けているという噂が立ったためか,このビジネスの類似ビジネスがたくさん発生している。一時期,ヤスオクモデルを少しずついじったモデルについて,適法性に関する相談が同時に3つくらい事務所に来ていた。
確かに,このサービスは,景表法(広告,懸賞双方の面)や,刑法(賭博)の観点から問題が指摘できなくない。また,資金決済法との関係も気になるところではある。
景表法に関しては,消費者庁の回答者によっても回答がまちまちになることから,絶対に大丈夫ともいえないケースがある。
安易に「危ないからおやめなさい」というのは簡単だが,「どう直せば確実にセーフといえるか」などと聞かれても「絶対セーフ」なビジネスモデルは,とてもつまらないか,事業者が儲からないか,すでに誰かがやっているので,難しいところである。