Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

信用のないロースクール生

JR福知山線脱線事故で,電車と衝突したマンションの買取交渉が始まったというニュースがしばらく前にあった。それによると,通常は時価での賠償になるところ,住民に与えた損害に鑑みて,JR西日本は取得価額での賠償を提案しているらしい。


事故の凄惨さによって心に負った傷を別とするならば,被害者に有利な申出だということができる。しかし,慰謝料や移転費用などを別にして,買ったときと同じ金額をもらったとして完全に原状回復できるか,というと別問題である。


まさしく,今の私に同じようなことが起きると,困るのである。
不謹慎なたとえだが,今のマンションに小型飛行機が衝突して,居住不能になったとする。そこで,航空会社が買ったときの値段で賠償してくれたら,再び同程度のマンションが買えるか,というと残念ながら不可能。


なぜなら,たとえキャッシュでもらえたとしても,今のマンションの残債に充てると,残りでは同程度のマンションを買うことはできないから,再びローンを組むことになる。しかし,前にローンを組んだ当時と異なり,法科大学院生となった今となっては,信用はおそらくゼロである。よって,銀行の審査は通らず,ローンは組めない。だから,同レベルの生活をすることはできない。


法科大学院生のうち,社会人からの転身組の多くは,次に収入が入るときまで如何に食いつなぐかを悩んだことがある。信用がないだけに,いざというときに苦しい。しかし,そんな学生相手にも住民税の納税通知書は容赦なく届く。


2003年分の所得に応じて,2004年に支払ったと思ったら,今年もまたキタ。そういえば,2004年も半年分ぐらいは収入があったから,昨年の約半分の額を支払わなければいけない*1。昨年の分と合わせると,ちょうど家計リストラのために売ってしまったクルマの額とほぼ同じになってしまった。泣く泣く売ったクルマの代金が全て住民税の支払に消えるとは。

*1:今は所得税と住民税の徴税方法が異なるが,そのうち同じになるらしい,ということが数日前の日経に書いてあった