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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

プロ野球ストの影響

昨年は,プロ野球ストライキが大いに話題になったが,その影響は意外なところにも及んでいると思う。


後期の労働法では,集団的労使関係といって,いわゆる組合,争議行為などを扱っている。しかし,今や組合の組織率も低下し,自分が子どもの頃と違って私鉄のストなどのニュースが流れる時代でもない。そんな事情もあって,講義のたびに先生は,「まあ,最近ではストライキのやり方を知らない労組も多くてですね」とか,「今やまったく問題にならなくなってしまったんですが」などと,言うことが多い。


そんな状況だから,おそらく試験でも注目される分野ではないだろうと考えられる。しかし,それが昨年のプロ野球のスト問題で,状況が変わってしまった可能性がある。この問題を題材にすることによって,集団的労使関係の多くの論点を語ることができる。


例えば,プロ野球選手会は組合といえるか(組合と認められると何がうれしいか),球団統合のような話題は労使交渉事項といえるか,球団統合の直接の当事者といえない球団の選手もストに参加してよいのか,球団や選手は試合が中止となったことによって生じた損害の賠償責任を負うか・・などである。この話を例にとって説明する先生も,どこか楽しげにみえる。


そんなわけで,もしかしたら集団的労使関係の領域は,再び脚光を浴びてくるかもしれないから,あんまりおろそかにはできなさそうである。