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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

『法律の学び方』青木人志

法律の「超」入門書の紹介。

 有斐閣のイメージとは大きく異なる入門書である。 

法律の学び方

法律の学び方

 

著者の青木人志先生には,私がロースクールに入ったばかりで本当に法律のことを何も知らないとき,「導入ゼミ」を担当していただいた。最初のゼミが「尊属殺違憲判決」で,これを一審から読み,三審制の意味から,多数意見,少数意見,補足意見などの基本的なこと,弁護人・大貫親子の話などをしていただいたことをよく覚えている。

そんな青木先生が超入門書を書いたということで,思わず手に取ってみた。

登場人物は,有斐閣のロゴに書かれている(想像上の?)動物をイラスト化したもので,こんな感じの緩い設定である。

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その2匹(?)がロゴの枠から飛び出すところから始まる。

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なお,このキャラクターたちは,初出ではなく,前著の「判例の読み方」からの続投である。

判例の読み方

判例の読み方

  • 作者:青木人志
  • 発売日: 2017/11/17
  • メディア: Kindle版
 

 弁護士,司法修習生,法科大学院生らは,すでに法学の入り口を通り抜けているので敢えて読む必要はないのだけれど(ただし,30-40分あれば読み切れる),大学生,高校生で「法学部に進もうか」「法律の勉強がまったく意味不明」といっている人に対して,本書を勧めるのがよいと思う。

本書には,法学入門書にありがちな法体系,解釈学,条文の読み方のことなどはほとんど触れられていない。抽象的な表現で以って法律学への心理的ハードルを下げようという工夫が随所にみられる。その結果,本書を読了しても,法的知識はほとんどつかない。

そんな異色の超入門書だが,さいごにあとがきの一節を紹介しておく。

本書の副題は「シッシー&ワッシーと開く法学の扉」である。読者が開く扉の先には,冷たく暗い混沌ではなく,温もりと光のある宇宙が広がっていると予感させ,思わず歩みを勧めたくなるような,そんな気持ちにさせる本を書きたかった。