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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

映画「泣き虫しょったんの奇跡」

遅ればせながら2018年公開の映画「泣き虫しょったんの奇跡」を観た。

 shottan-movie.jp

本作は,上演後まもなく出演者の犯罪報道があり,さらには監督が自宅に拳銃を所持していたとして銃刀法違反の嫌疑がかけられるなどして*1,お蔵入りする危険があった。そんなこともあって観よう観ようと思いながら観るタイミングを逸していた。

最近,「聖の青春」「三月のライオン」などの将棋関連の映画が上映されたが,それよりは原作の知名度が劣るため,あまり期待はされていなかったかもしれない。しかし,文句なく本作はそれよりも面白い。

もちろん,自分が将棋ファンであり,「プロ棋士になる」ということについて準・当事者的立場であったことも関係しているのだけれども,実話である原作の面白さと,監督・脚本豊田利晃*2による味付けによるところが大きい。

俳優たちの演技もいい。主演・瀬川昌司役の松田龍平のどことなく抜けた感じ,幸薄そうな演技は,(失礼ながら)瀬川先生らしさがすごくよく出ているし,小林薫,國村隼,イッセー尾形らのおじさんの演技は本当にうますぎて涙が出る場面が何度もあった。

映画「聖の青春」「三月のライオン」のときは,棋士たちの手つきや振る舞いについて「よく練習・訓練したなあ」と思った。それっぽい動作,手つきではあったものの,やはりそこは「練習した」という感覚で,プロのそれとは明らかに違う。しかし,本作での対局シーンは,演技であることを忘れてしまうほど自然だった。最後の編入試験のシーンで登場する棋士5名は全員,プロ棋士であるから自然な対局姿であることは当然なのだけれど,松田龍平も自然だった。

拙ブログを検索してみたところ,原作を最初に読んだのは今から12年前の修習中だった。長男が将棋を覚えて教室に行き始めたころで,自分も将棋の世界の情報収集を始めたばかりのころだった。

masahiroito.hatenablog.com

のんきにこんな感想を書いていた。

「万が一」長男がこのまま将棋熱が冷めず,順調に強くなっていったとしても,そんな世界に身を投じようとしたら,親としては躊躇するだろう――と思わせるぐらいの厳しさ。まあ,そんな心配は取り越し苦労になると思うけれど。

 ところで,映画公式サイト(冒頭のリンク)のポスター画像。 

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「小林薫/國村薫/國村隼」ってあるけど,明らかに・・誤植だよね。

 

*1:祖父が所有していたものが自宅に残っていただけということで不起訴処分になっている。

*2:豊田利晃は元・奨励会員であるというのは有名な話だ。