Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

週刊ダイヤモンドと週刊エコノミスト

今日は日帰り出張で新幹線に乗ったので,駅でTwitterで話題になっていた週刊誌を2冊買った。


似たような特集が組まれたのは偶然だろうか。ダイヤモンドは「司法エリートの没落」という表題を掲げているように,ネガティブな話題が多い。


両誌から共通して伝わってくるのは,アディーレ,ベリーベストという二つの事務所の台頭だ。驚いたことに,本年1月時点で,両事務所の所属弁護士人数は,それぞれ190人,141人で,とうとう,五大事務所に次ぐ存在(6位,7位)になっており,1年前からの増加人数も30人以上で,これは1位,2位を占める*1。今後もその勢いは止まらないだろうし,この2事務所に続く新興勢力系の事務所も増えてきているので,一般民事系の法律事務所のフランチャイズ化というか巨大化はこれからも進みそう。


ダイヤモンド62頁以下は,「つぶしたくてもつぶせない崩壊寸前の法科大学院の今」。本文を読むまでもなく,書かれている内容は,想像どおりのものだった。先日,shulzeさんのブログで紹介されていたけれど,今年の3月で法科大学院を卒業して司法試験を受験する見込みの人は,とうとう1692人しかいなくなったとか。まだまだ滞留している受験生がいるものの,司法試験の合格者のうち,法科大学院出身者が1300人くらいを占めると仮定すると,もうほぼ全員合格時代が来てしまった。制度発足から10数年を経て,ようやく当初の制度設計の姿に近づいたといえるのではないか(もちろん皮肉です。)。


細かい突っ込みどころはほかにもたくさんあるのだけれど,ダイヤモンド42頁では,「ある50代独立弁護士の収支事例」が紹介されている。売上1800万円というのは,一人でやっているとしたらそれほど悪くない数字だけれど,その経費の内訳が「ホームページ運営 240万円」「リスティング広告 240万円」「コールセンター 60万円」って・・ちょっと意味が分からない。どんな営業方法,事務処理方法をすればそんな経費がかかるのかわからないし,それだけの経費かけてそれだけの売上って,効率悪すぎ。


今後も,法曹志願者の人数が回復することがあるのかわからないし,回復するとしてももうしばらく時間がかかりそう。そう考えると,今こそ,司法試験を目指す人にとってはチャンスだと思う。合格しやすいし,合格後も優秀なライバルは少ないし。この業界,仕事がなくなることはないし。