Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

3月11日の臨時総会「第三案」

大阪に出張する機会があったので,その足で大阪の藤本一郎先生に会いに行った。

藤本先生といえば,古くは司法試験後に,「藤本大学」のサイト*1が大いに参考になった。その後,Twitterで,たまにからませていただくことはあったけど,お会いしたのは今日が初めて。


最近,先生のブログで知ったのが,来る3月11日に開催される日弁連臨時総会のこと。弁護士会の選挙とか,総会などといった話題にはめっきり疎いのだけれど,司法試験の合格者数を「直ちに1500人に」「可及的速やかに1000人以下に」するという案が決議されようとしている。執行部はこれに対する対案として,「早期に1500人とする」ということにとどめる案を出している*2。いずれにせよ,現在の1800人程度の合格者数を「減らす」という内容であることにおいて大差はない。


先生はこれに対し,第三の案を提出されようと立ち上がり,賛同者を募っている*3。私もこれに賛同しようと思い,大阪に行く機会があったので,無理をお願いして時間を作っていただいた。提案書に記載のとおり,先生から熱い思いを聞くことができた。


私は,必ずしも現在の法科大学院制度が完全だとは思っていないし,質の良くない学校は早く淘汰されるべきだと考えている。合格者数ありきの議論も本質から外れていると思っている。また,以前ほど弁護士が経済的に恵まれていないのは確かだし,それは人数が増えたことが原因だということも理解している。しかし,弁護士の団体が,「合格者を減らせ」という意見表明をすることは,たとえそれが建前上,自らの既得権益を守ることではなく,困窮する若者を増やさないためにあるとしても,大いに疑問がある。


ただでさえ,人が離れている業界。理由はあるにせよ,外に向かって「仲間をできるだけ増やしたくない」と主張するようなところに優秀な人が集まるだろうか。無責任にバラ色の世界を語って煽るのはよくないとしても,先輩としては,もっと仕事の魅力や夢を語るべきではないか。


確かに,法科大学院の入学者も,司法試験の受験者も壊滅的に減少し,受験者全体の質が悪化していると言われている中で,無理に基準を下げてまで合格者数を維持する必要はないと思う。だから,結果的に基準を満たす合格者が減っていくことについての抵抗はない。しかし,外に向かって,合格者を減らせ,という意見表明をする必要があるのか。


というわけで,私も微力ながら,賛同者を募り,総会への出席や委任状集めに動こうと思う。

*1:藤本先生が個人的に管理されているサイト。http://www.fujimotoichiro.com/index-j.html 著名なコンテンツとしては,「日本の50大法律事務所」

*2:http://d.hatena.ne.jp/attorney-at-law/20160121/1453374137

*3:その案の具体的内容は,http://d.hatena.ne.jp/attorney-at-law/20160121/1453374137