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弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

法科大学院・法曹はキャリアチェンジのルートとしてどうなの?

社会人出身・理系出身で,ロースクール1期生である私としては,最近知った中央教育審議会の資料を見て,社会人出身者,理系出身者が想像以上に減少していることが気になる。


中央教育審議会法科大学院特別委員会第61回(平成26年5月8日開催)配布資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/1347725.htm


上記会議の資料2−1(志願者数・入学者数等の推移・PDF)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/012/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/05/15/1347725_1.pdf


上記の資料の2ページおよび4ページから,制度発足の平成16年から平成26年までの入学者数・うち社会人出身者・理系学部出身者の推移をグラフ化してみた。(目盛は,入学者数と社会人出身者数は左軸,理系出身者は右軸)



1期生では,486人いた理系出身者は,今年の入学者では8分の1以下の58人に減っている。入学者数自体も半分以下になっているので,理系出身者の占める割合は8.4%→2.6%である。


社会人出身者も,1期生では全体の48.4%を占めていたが,今や18.6%で,人数的にも2792人から422人まで減っている。


クロス集計のデータはないが,おそらく,社会人出身かつ理系出身者は,今年は20−30人くらいで,これが最終的に司法試験に合格する人となると,数人になってしまうかもしれない(一般に,社会人出身者,未修者の合格率は高くないので。)。


原因はともかくとして,法科大学院を経由して法曹を目指すというのは,社会人や理系学部卒業者にとっては魅力的なキャリアチェンジとしてはとらえられていない。


当事務所では,理系出身者,社会人出身者を積極的に採用してきた。それが事務所の特徴を出すことにもなると考えていた。しかし,これからはそういう人を見つけるのは大変そうだ。


しかし,理系出身者,社会人出身者の絶対数が激減しているということは本当に大きな問題なんだろうか。比較データを持ち合わせていないのでよくわからないが,旧試験時代と比較しないと,単に,H16-H19あたりの人数が単なる「LSバブル世代」であっただけかもしれない。確かに数百人単位で理系出身者が弁護士になるほど,ニーズもないので,適正規模に収まっただけなのかもしれない。


そうだとすると,これからは理系出身者,社会人出身者としては,同期の競争相手が減っているのでチャンスといえる。