Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

SOFTIC契約セミナー「情報システム構築のあり方を考える」

本日,題記のセミナーに参加してきた。


http://www.softic.or.jp/seminar/121122/index.htm


第一部は大澤弁護士によるIBMvsスルガ一審判決の紹介。60分という予定をかなり超過してしまったが,単一の事件の判例紹介(事案の概要と判旨の紹介が主で,評価は加えていない)で60分確保するというのは,なかなか贅沢な構成だった。それでも,事案が複雑・長大なだけに,時間不足だったけれど。


第二部は三木弁護士をモデレータとし,大澤弁護士,吉田弁護士と,ユーザ代表(といっても,氏の経歴はもともとベンダ出身ではある。),ベンダ代表が加わったパネルディスカッションが2時間用意された。


「情報システム構築のあり方」というタイトルにあるとおり,ベンダ・ユーザ代表は,現場の方だけに,「ベンダもユーザもない。一緒に昼飯を食べるべし。」「社長のコミットが重要。」といったプロマネTips的な話が多かった。残念ながら,今の業務に直接通ずるものではないし,果たしてこうした話が参加者にも響いたかどうかは疑問だが。


もっとも,IBMvsスルガ事件の精緻な分析もあり,参考になった。本件では,最終合意書と題するMOUのような文書の位置づけ,解釈,拘束力が問題となったが,その表記や,締結までの経緯,タイミングなどに関する議論は興味深かった。開発までの総額が記載された「最終合意書」の影響は大きかったわけだが,IBMが拙速に総額をコミットしたわけではなく,約1年間の要件定義フェーズを経た上で締結された「最終合意書」であるだけに,裁判所が法的拘束力は否定したものの,重く評価したのもよくわかる。


来月(12/17)にはシステム開発紛争をテーマにしたセミナーを行うので,それに向けていくつか,参考になった。
http://www.seminar-info.jp/entry/seminars/view/1/2362