Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

私が死んだら私のアカウントはどうなりますか?

Evernoteから利用規約の変更に関するお知らせを受け取った。いろいろと気になるところはあるが,まずは,題記の表題がついた条項について。


メールにリンクされていた変更後の規約はこちら。
http://evernote.com/intl/jp/legal/tos.php

ただし,この規約の末尾には,

本日本語文書は、ユーザの便宜を図ることのみを目的として、英語の原文を翻訳したものです。法的に拘束力を持つのは、英語の原文のみになります。

とあるので,英文の確認も必要だ。英文はこちら。
http://evernote.com/legal/tos.php


紛争解決条項にかなり分量が割かれているのでチェックしようと思ったところ,目につく条項があった。

私が死んだら私のアカウントはどうなりますか?

Evernote のユーザのコンテンツのプライバシーを保護するという約束は、たとえ本人が死亡または意思無能力者になられた場合にも継続されます。そのような事態になった場合にユーザのコンテンツやアカウント情報へのアクセスを誰かに許可することを希望される場合は、アカウント情報へのアクセス情報をそのような個人に提供するための手続きをとる必要があります。当社では法的に義務付けられない限り、ユーザのアカウント情報やコンテンツは誰にも(ユーザの近親者にさえも)提供することはありません。アカウント情報をコンテンツへのアクセス方法と共に、遺書またはその他の財産相続計画に含め、ユーザがご自身のアカウントへのアクセスを許可したい人にその手段を与えることができるようにすることをお勧めします。

死んだ後でも,特定の手続が事前に取られていない限り,遺族らにコンテンツを提供することはない,ということが書かれている。なので,結局のところ,ユーザに注意喚起しているだけにとどまる。


主にSNSを題材にして,死後のアカウント,プライバシーについて議論されることはある。Facebookmixiの規約を見たところ,ユーザが死亡した場合の取り扱いについては見あたらなかった。私の亡くなってしまった同級生は,今でも「友だち」一覧に登場するし,誕生日になると,その旨が表示される。よく考えてみると,仮にこの先,100年,200年経っても現状のSNSサービスが続くとなると(あり得ないけれど)SNS上は,歴史上の人物が多数生き続けるということにもなりかねない。


Evernoteはそうしたことを考慮して,このような条項を入れたのだろう(規約改正前から同種の条項があったかどうかは確認していない)。


今後,この種の議論が成熟してくると,ユーザ登録時に,死亡時には誰に連絡するのかを選ばせたり,「○日以上アクセスがなかったら死亡したとみなす」といった条項に同意させたりするなどのプロセスが加わるかもしれない。