今月の「自由と正義」の特集１は，「多様な法曹―企業内弁護士」。
現役LS生の方には，ぜひ図書館に行くか，知り合いの弁護士か修習生に頼んで見せもらうとよいと思う。内容は暴露話があるとか，すごく面白い統計があるとか，そういうわけではないが，この極端なまでの法律事務所への就職難時代において，選択肢の一つとして参考になると思う。
私が思うに，企業内弁護士が，法律事務所での弁護士業務と違うのは，ビジネスデベロップメントに深く関われるというところにあると思う。もちろん，企業内のよろず相談的な業務もあるだろうし，定型的なルーチンワークも多いとは思うが，ビジネスへの直接的な関与というのは大きな魅力の一つだろう。
それに加え，企業に入ることのメリットとして，チームワークができるということが挙げられる。一部の大規模事務所を除いて，日本の法律事務所では，多くはひとり作業となるし，せいぜい，ボス，先輩を含めて２，３人での作業となる。企業での作業の多くは，チームワークで，組織内力学や，組織内コミュニケーションを経験するのは，（一般社会人としては当然のことなので，敢えて特徴とすべきことではないが）重要な体験となる。
一つの案件，仕事に比較的深く，長く関われるのも特徴の一つだと思う。どうしても法律事務所としての関与は，ビジネスに対して受動的なので，スポットでのお手伝いになりがちだ。他方，ビジネスの主体である企業では，はじめから終りまで関わらざるを得ない。
・・と，こう書いている私は，法律事務所に所属しているわけなのだが，「やっぱり企業での仕事に戻りたい」という気分になることもある。法務部に企業内法務部として戻るということに限るわけではなく*1。ただ，今と同程度の自由度は，どこの企業に入っても得られないだろうな，と考えると，現実的には難しいのかもしれないけれど。
*1:そもそも，法務部経験があるわけではないので「戻る」という表現は適切ではないのかもしれない。
