Footprints

弁護士・伊藤雅浩による仕事・趣味・その他雑多なことを綴るブログ(2005年3月開設)

弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査報告書(2)

少し間が空いてしまったけど,つづき。


【顧問先の実態(問20)】
顧問先を持っているかどうかという質問。全体でみれば,63.5%の弁護士が「持っている」と回答。属性別に見てみると,

親弁(95.8%)
勤務弁護士(21.8%)

5年未満(22.9%)
5-10年未満(45.2%)
10-15年未満(74.3%)

男性(67.2%)
女性(42.8%)

となっている。

さらに,「顧問先をもっている弁護士」の平均顧問先数は,東京で14.1件。2000年の同調査では10.0件だったことを考えると,弁護士は増えながらも,件数も増えているということで,顧問契約を締結する企業が増えたということか。

また,興味深いのが年額顧問料の分布。東京で見ると,

固定額なし(29.6%)
30万円未満(15.7%)
60万円未満(18.2%)
120万円未満(21.4%)
240万円未満(10.9%)
360万円未満(2.2%)
360万円以上(1.9%)

高い顧問料を支払っている依頼者もあるなあ(笑。「固定額なし」というのは,顧問契約を結ばないが,継続的に法律事務を依頼してくる依頼者をいうらしいので,本統計では「準顧問先」と定義している。全体としては顧問料は減少傾向にあるとのこと。


【報酬基準とタイム・チャージの金額(問26)】

いわゆる着手・報酬型の報酬基準と,タイムチャージ方式と,どちらを採用しているか,という質問。全国的にみれば,「専ら着手金・報酬金方式による」(着報)が82.2%,「専らタイムチャージ方式による」(TC)が7.9%だが,地域別にみると,

東京 着報 67.1%,TC 17.1%
高裁所在地(東京,大阪,名古屋以外の大都市圏) 着報 96.9%, TC 0.0%

となっており,その差は歴然。そして,タイムチャージの1時間当たりの報酬額は,平均33,860円。思っていたよりも高い。ただ,最頻価格帯は2万円以上,3万円未満(36.5%)となっている。そして,経験年数20年から30年の弁護士となると,平均で6万円(!)を超える。

年数ともに,経験,知識も増すから,報酬額が上昇するというのは合理的のように見えて,他の業界(コンサルティング等)においてもみられることだが,顧客からすると,同じ人に頼んでいるのに,単価が少しずつ上がって行くというのは受け入れにくい面もある。なので,小規模事務所などでは,新しい顧客から新単価を適用し,従前の顧客に対しては,従前の単価という複数価格を設定しているところもあると思われる。そうすると,管理が大変だけれど。


そして,続いて,収入,所得といった統計値に入るが,いったんここで中断。