先日の詰将棋解答選手権の帰りに買った石井正著「世界を変えた発明と特許」。知財に関する業務に従事しながら,よく知らないことがたくさん紹介されており,興味深く読んだ。
![世界を変えた発明と特許 (ちくま新書) 世界を変えた発明と特許 (ちくま新書)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41lxGMN%2BWAL._SL160_.jpg)
- 作者: 石井正
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/04/07
- メディア: 単行本
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ワット,エジソン,ライト兄弟,豊田佐吉など,子どもの頃に伝記やマンガで読んだ偉人たちの特許や,事業化をめぐる苦労話などが各章に一つずつ紹介されている。たとえば第6章は,知財法の勉強をした人ならだれでも知っているキルビー特許事件。その背景には半導体集積回路を巡る日米の根深い争いがあったことは少々知っていたものの,米国内でのキルビーとノイスの争いがあったことなどは,恥ずかしながら知らなかった。
日本がまだ封建社会であった18世紀に,イギリスでは蒸気機関が発明されて産業革命が興っていたということは歴史で習うが,実際にその当時のクレーム(発明の内容を具体的に特定した文言)や,特許制度を知ると,あらゆる点で大きな差が開いていたのだなということが実感できる。
最終章は,まとめとして,特許出願すべきか,ノウハウとして秘匿すべきか,とか,特許と著作権の違いなどをコンパクトにわかりやすくまとめてある。知財分野の専門家からすれば当たり前のことかもしれないが,一般向けの説明として適している。